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EURO2020 3年前

全てを変えた1つの交代…前回王者ポルトガル代表が堅守を打ち破った要因は、どこにあったのか?【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前回王者は機能せずあわや失点も…

“勝利以外は失敗”という立場にあったポルトガル代表は先述した通り、立ち上がりから支配率を高めていた。守備時5-3-2の相手に対し、両サイドバックを高い位置に押し上げ、センターバックの間に中盤底2枚ウィリアム・カルバーリョ、ダニーロ・ペレイラのどちらか一人が落ちることで、ツートップに対し数的優位を保ちながらビルドアップを進めていた。

 敵陣深くに入る機会は決して少なくなかったが、仕上げの精度を欠いた。ジョッタは大舞台でのプレッシャーからか判断力やプレー一つひとつのクオリティーが普段とは違っているなど、勢いが空回りしていた印象。C・ロナウドやB・シウバ、ブルーノ・フェルナンデスらは当然厳しいマークを受けていた。

 0-0の時間が長く続き、ハンガリー代表の選手たちは明らかに「いけるぞ!」という自信を持っていた。そんな中でポルトガル代表は明確な変化を加えられず、ただただボールを動かしてチャンスをうかがうしかなかったのだ。

 また、ポルトガル代表が苦しんだのはハンガリー代表の守備でだけではなかった。1点を奪おうと前掛かりの状態になると、相手のカウンターに手を焼いたのだ。起点になり続けたのは長身FWアーダーム・サライ。彼にうまくボールをキープされたポルトガル代表は、戻りながらの守備が基本となる中でファウルを犯すことも多く、ハンガリー代表に余計な“時間”を与えてしまった。

 80分には、そのサライが起点となってハンガリー代表のカウンターが発動。ポルトガル代表は右サイドを破られ、最後はサボルチ・ショーンにゴールネットを揺らされている。これは結果的にオフサイド判定となりゴールは認められなかったが、ポルトガル代表は攻勢に出る中で、リスク管理という部分でも不安をのぞかせていたのだ。

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