フランス代表が示した「強固な基盤」。ドイツ代表を撃破、才能やクオリティ以上に必要なものとは?【ユーロ2020分析コラム】

2021年06月16日(Wed)12時51分配信

シリーズ:分析コラム
text by 本田千尋 photo Getty Images
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「オートマティズムがある」フランス代表



 GKウーゴ・ロリス、右SBベンジャマン・パヴァール、CBラファエル・ヴァラン、左SBリュカ・エルナンデス、そして中盤にポール・ポグバ、エンゴロ・カンテ……。スコアが1-0となった後の“レ・ブルー”は、ロシアワールドカップで頂点に立ったメンバーを中心に強固な守備ブロックを築く。試合後、この“世界最強の守備的ユニット”についてデシャン監督は次のように言及している。

「彼らは互いに知っている。プレスネル・キンペンべを除いて、守備ブロックのメンバーは同じだ。ウーゴ(・ロリス)、ポール(・ポグバ)、 そして エンゴロ (・カンテ)は2018年のワールドカップで一緒だった。当時、アドリアン(・ラビオ)はいなかったが、コンセプトを知っているし、 彼らの間にはオートマティズムがある」

 ロシアワールドカップの時とは違って、サミュエル・ウンティティではなくキンペンべがヴァランとコンビを組み、2列目にはラビオが加わったが、大本の骨格が変わったわけではない。「オートマティズム」が浸透しているフランス代表は、お互いを熟知する[4-3]が世界最高峰の守備ブロックを形成する。

 さらにカリム・ベンゼマを筆頭に、アントワーヌ・グリーズマン、ムバッペの3トップも守備に労を惜しまない。そしてボールを奪えば、ムバッペを走らせるカウンターを発動する。このようにフランス代表は「効率的」なサッカーで試合の主導権を握った。

 さらに、エルナンデスが誘発したフンメルスのオウンゴールは、ヨアヒム・レーブ監督の思考を直撃したのかもしれない。ドイツ代表の指揮官は、74分、前線にスペースがない状況で、セルジュ・ニャブリに代えてティモ・ヴェルナー、カイ・ハヴァーツに代えてレロイ・サネを投入してきた。

 ヴェルナーもサネもスピード系のドリブラーで、どちらかと言うとカウンターで活きるタイプ。もしくはサイドから仕掛けることでチャンスを作り出すプレイヤーだ。しかし、レーブ監督は、“世界最強の守備的ユニット”がスペースを固く閉ざすブロックの中にヴェルナーとサネを送り込んできたのである。頼みの綱として招集したベテランのフンメルスがオウンゴールを喫したことは、少なからず心理的なダメージとなり、レーブ監督から正常な判断を奪ったのではないか。

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