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EURO2020 3年前

イングランド代表に何があったか? スコットランド代表に0-0…その要因と悲観的でない理由【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

スコットランド代表にどのように封じられたのか?



 序盤こそ、12分にCKからジョン・ストーンズのヘディングが右のポストを直撃するなど、スリー・ライオンズがゴールに迫ったが、基本的に[5-2-1-2]で守備ブロックを整えながら対人で激しく潰しに来るスコティッシュたちを相手にリズムを掴めない。

 メイソン・マウントやラヒーム・スターリングに対してビリー・ギルモア、フィル・フォーデンに対してキーラン・ティアニーが食らい付いてくるなど、プレミアのビッグクラブに所属するスコットランド人選手からすれば、イングランド代表の選手たちは馴染みの相手。主将のアンドリュー・ロバートソンを筆頭に、スコットランド代表は心理的に構えるどころか、ライバルを食い千切ろうとする程のタイトな対人戦を仕掛けてきた。

 そしてサウスゲート監督が「ボールを上手く使った」と振り返ったように、スコットランド代表が時折見せる正確で速いパスワークに対して、スリー・ライオンズは効果的にプレスを掛けることができない。初戦のクロアチア代表戦とは打って変わって、ボールを失った時の守備もハマらなかった。

 そしてハリー・ケインが「彼らはとてもよく守ったし、幾つかのチャンスを創り出した」と振り返ったように、30分、62分と決定機も作られている。30分の場面はGKジョーダン・ピックフォードのビッグセーブで、62分はジェームズのゴールライン上のクリアで事なきを得たが、スコットランド代表に勝利の女神が微笑んで何らおかしくはなかった。

 サウスゲート監督は、63分にフォーデンに代えてジャック・グリーリッシュ、74分にケインに代えてマーカス・ラッシュフォードを投入したが、グリーリッシュもサイドで3人に囲まれるなどタイトな守備に苦しみ、違いを創ることはできず。攻撃陣が2枚変わった後のイングランド代表の攻撃は単発的なものに終始した。

 アディショナルタイムに、ジェームズが右からグラウンダーで入れたボールにデクラン・ライスが飛び込んだが、負ければ敗退のスコットランド代表の選手たちの決死の守備によって、終ぞゴールを割ることは出来ず。“英国対決“は0-0のドローに終わった。

 このようにイングランド代表は攻撃面の連携で課題を残したが、サウスゲート監督と同様、エースFWのケインも0-0という結果には悲観していないようだ。試合後、主将は次のようなコメントを残している。

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