イタリア代表は悪夢から一変、なぜ優勝できたのか? イングランド代表を苦しめた理由【ユーロ2020決勝分析コラム】

2021年07月12日(Mon)11時33分配信

シリーズ:分析コラム
text by 小澤祐作 photo Getty Images
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個でイングランド代表を攻略した男



 その中で、キエーザという韋駄天が存在したことも、イタリア代表にとっては大きかった。

 キエーザは崩しの局面で頻繁に仕事を果たした。ゴールへの意欲は誰よりも溢れていて、やや強引ながらもパワーとフィジカルで押し切る。右サイドにいた際は縦、左サイドに移った際はカットインで怖さを示している。ただ細かなパスを繋ぎファイナルサードに侵入するだけならばイングランド代表も脅威には感じなかったはずだが、この男の仕掛けがあることで、アッズーリの攻撃力は一段階アップしていた。

 ユベントスに所属するFWは足を痛め86分にフェデリコ・ベルナルデスキと交代したが、シュート数は2位となる3本、ドリブル成功数はチームトップとなる3回を記録。レオナルド・ボヌッチの同点弾に繋がったコーナーキックも、キッカケはこの男によるものだった。やや停滞感が否めなかった時間帯においても、キエーザだけは可能性を感じさせていたと言えるだろう。

 マンチーニ監督の采配、そしてキエーザの存在もありイングランド代表を押し込んだイタリア代表は120分間で決着をつけることはできなかったが、PK戦でGKジャンルイジ・ドンナルンマが大活躍し、53年ぶり2回目のユーロ制覇を果たすことになった。

 今大会のイタリア代表は無傷。開幕戦から完成度の高さを見せつけ、最後まで全力で駆け抜けた。2018年ロシアワールドカップ出場を逃すなど暗いトンネルの中にいた時期もあったが、完全に抜け出したと言えるだろう。イタリア代表はとにかく、強かった。

(文:小澤祐作)

【了】

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