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なでしこジャパン、練習の成果はどこへ…。熊谷紗希が悔やむ「あの形」、突きつけられた日本の弱点【東京五輪】

text by 編集部 photo by JMPA

熊谷紗希
【写真:JMPA代表撮影】



 東京五輪のサッカー競技が21日に開幕し、日本女子代表(なでしこジャパン)はグループEの初戦でカナダ代表と対戦し1-1のドローに終わった。

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 最初の失点が痛かった。開始6分、日本は1本の縦パスで左サイドを破られ、FWニシェール・プリンスにクロスを上げられる。そして中央でFWクリスティーヌ・シンクレアに自由を与えてしまい、あっさりゴールを破られた。

 失点場面についてキャプテンのDF熊谷紗希は「正直、カナダはあれが狙いというか、あれだけだったところがあった」と振り返った。最も与えてはいけないシチュエーションで、痛恨の失点だった。

「やっぱりセンターバックが引き出されているので、その中で中に残るセンターバック、(逆)サイドバック、そして2列目と…難しかったですけど、中の対応やその前の部分でもっと防ぐことができたのかなと。あの形を作らせないような守備をしなければいけなかったのかなと思っています」

 熊谷と同様、MF長谷川唯も失点シーンの対応のまずさを反省点に挙げていた。

「相手のウイングの選手が速いことだったり、クロスから12番の選手(シンクレア)に決定力があるのも、しっかり気をつけた中で入ったんですけど、なかなかつかみ切れなかったというか。

最後のクロスのところは、たくさん練習してきたので、オーストラリア戦でも、男子との練習試合でもすごいうまくいっていた場面が多かったですけど、そのクロスから失点したのはまだまだ修正が必要だと思います。その場面にいかせないことや、もちろん全部は難しいですけど、もっと突き詰めないといけないと思います」

 このコメントの通り、速攻やカウンターへの対応やサイドからのクロスの処理は、男子高校生との合同練習などを通じて集中的に磨いてきていた。東京五輪直前のオーストラリア女子代表選では粘り強く守れており、練習の成果を感じていたところだった。

 しかし、本番では試合開始直後に警戒していた速攻とクロス対応で後手に回り、失点。その後の流れも難しくしてしまった。高倉麻子監督は、試合後の記者会見で立ち上がりの重要性を改めて強調していた。

「ゲームの入りに関しては、ずっと『気をつけてね』と言っているんですけどね。ずっと『フワフワするな』とは言っているんですが、なかなかうまくいかないというか、少し(相手の攻撃を)受けてしまう形が多い。

『最初の15分』という表現したり、『ゲームの入り』と表現したりしていますが、相手の勢いという意味では、海外のチームは特に最初の15分でフィジカルを前面に押し出してくる。こちらも(受け身になって雑に)蹴ってしまう形になるので、今日また良い教訓になったと思うし、チームとしてもさらに集中力を上げていこうと。自分たちで変えていくしかないと思います」

 速攻と試合の立ち上がりという、2つの苦手要素を見事に狙われてしまった。24日にグループステージ第2戦で対戦予定のイギリス女子代表も、強烈なサイド攻撃と速攻の切れ味を武器にする。当然、カナダ戦を見てなでしこジャパンの弱点を狙い撃ちしてくるだろう。

 長谷川は「勝ち点0と1では大きな差だと思うので、ポジティブに捉えるしかないと思っています。必ず次の試合に勝って、自分たちに余裕ができるように、全身全霊をかけてチームで頑張りたい」と前を向いた。

 キャプテンの熊谷も「最後に1-1で勝ち点1を獲れたことが本当に次につながったと思うので、本当に良かったなと思います。ここからまた次につながる戦いがあるので、いい準備をしていきたいと思っています」と語った。

 中2日でどれだけ改善できるか。選手たちの意思統一と高倉監督の手腕が試される。イギリス戦で再び弱点を突かれて敗れるようなことがあれば、金メダル獲得への道はさらに険しいものになってしまうだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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