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久保建英 3年前

久保建英の“初陣”はどうだったのか。沸き起こった「タケ・クボ!」コール、2年前よりも輝ける?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

2年前よりも活躍できるのか?



 右サイドへ移った後のプレーにやや物足りなさを残したのは事実だったが、合流して間もなく、さらに同点に追いつかれた直後で流れ的に難しかったことを考えても、出来る限りのことはやったと言えるだろう。FKを獲得したシーンを見ても、改めてこのチームにおいて個の力は非凡だった。

 この日に関しては周囲との“連係”で魅せるようなプレーはなかったが、ダニ・ロドリゲスやイドリス・ババ、サルバ・セビージャなどとは2年前にも共にプレーしているので、この部分で長く苦労することはなさそう。何より久保はスペイン語を操れるので、新加入選手ともすぐに息を合わせられそうだ。

 また、昨季6位のベティスと1-1で引き分けたマジョルカは、2年前よりも確実にレベルアップしているということを感じた。以前はやりたいことが曖昧で良さを出せぬまま簡単に負けてしまうことが多かったが、ルイス・ガルシア・プラザ監督に率いられたこのチームは最後尾からのビルドアップを徹底するなどスタイルが明確になっている。久保自身もクラブ公式の『YouTube』でのインタビューで「昨季の試合を観た。2年前にいた時とは違う。今の方がかなり良い」とコメントを残している。

 ヘタフェのようにボールが空中を飛び交うような試合はそう多くならないはずで、久保自身が足元でボールに触れる機会もより多くなりそうだ。ここまでのことを踏まえても、2年前と同じ、あるいはそれ以上に主役となれる可能性は高いだろう。

 ただ、チーム全体がレベルアップしているということは、その分ポジション争いは激しくなる。右サイドには突破力のあるジョルディ・ムブラがおり、トップ下には攻撃の核D・ロドリゲス、左サイドにはラゴ・ジュニオールや昨季昇格の立役者となったアマト・エンディアイエがいる。彼らと差をつけるには、やはり「結果」を出すこと。これに尽きるだろう。

 まだ久保の冒険は始まったばかり。過度な期待感は捨て、その続きに注目していきたい。

(文:小澤祐作)

【了】

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