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高倉麻子監督が退任。東京五輪8強、なでしこジャパンが進むべき「日本の道」への考えは…

text by 編集部 photo by Getty Images

高倉麻子
【写真:Getty Images】



 日本サッカー協会(JFA)は27日、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)を率いていた高倉麻子監督が今月末の任期満了をもって退任すると発表した。後任は明らかになっていない。

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 2016年4月になでしこジャパンの指揮を託された高倉監督は、2018年にAFC女子アジアカップとアジア競技大会で優勝。2019年のFIFA女子ワールドカップはオランダ女子代表に敗れ、ベスト16で敗退。そして、今夏の東京五輪はスウェーデン女子代表に屈してベスト8敗退に終わっていた。

 27日にオンラインで取材に応じ「5年間、なでしこジャパンの監督という非常に責任ある立場を任せていただき、非常に光栄でした」と挨拶した高倉監督は「今回の五輪は1つの区切りだと思っていた」と明かした。

 そして「もし(東京五輪で)メダルが獲れていたとしても、自分としては退く時なのかなと思っていたので、任期満了でこの立場を離れるということにネガティブなことは何もありませんし、次にバトンを渡す時が来たのかなと思っています」と続けた。

 なでしこジャパンを5年率いるなかでハッキリと見えてきたのは、世界との歴然とした差だった。それを埋めて、乗り越えていくための挑戦を続けていたが、道半ばで退任となる。

「日本の女子サッカー界が世界に出ていってから、フィジカル、インテンシティとの戦いは常にあったと思います。今回(の五輪では)、サイズもそうですし、一瞬の爆発的なパワーに関しても、どうしても差が出てしまう場面はあったかなと感じています」

 そのうえで高倉監督は「私たちはそこ(フィジカルの強さ)で勝負するのではなく、より技術的な部分であったり、コンビネーションもそうですし、試合の運び方含め、そういった巧さや精度を高めていくことが日本の道なのかなと私自身は感じています」と語る。

「日本が持っている技術的な部分や、組織的な守備も然り、コンビネーションも、(他国が)みんな持っていたと感じるかもしれないですけれども、やはり日本が持っている細かい技術というのは、他の国の選手が持っているものとちょっと違ったと思っています。(目の前の)人を外すことであったり、やはりコンビネーションも(他国に比べ)よりあると思いますし、その部分で戦っていけたらということは常々選手にも話をしていました。

ただ、それは精密機械ではないですけど、ちょっとズレてしまっただけでも相手の圧力に潰されてしまう。なのでフィジカル的な要素、ズレた時は身体能力でカバーできるようになっていかなければいけないというのを持ちつつ、やはり精度や技術、タイミングもそうですし、そういったところにこだわりながら、日々どれだけ細かいところを積み上げていけるかが大事なのかなと思います」

 こうした高倉監督が見出してきた課題感を後任監督がどのように受け取り、消化し、なでしこジャパンの未来につなげていくか。あるいは全く違った認識のもとで強化を進めるのか、新たなサイクルに突入する日本女子サッカーの将来に注目だ。

 なお、高倉監督の今後については「自分自身が女子サッカーに関わっていくのか、また何か全然違うことをやるのかは全く白紙」だという。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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