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猛威を振るう[3-2-5]。4バックで迎え撃つことは不可能…そのメカニズムとは?【フォーメーション亜種虎の巻・前編】

text by らいかーると photo by Getty Images

秋のフォーメーション集中講座と題し、フォーメーション観をアップデートし、その攻防をよりロジカルに堪能することを試みた発売中の『フットボール批評issue33』から、改めて可変式全盛時代の基礎を学ぶらいかーると氏の「フォーメーション亜種虎の巻」を一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:らいかーると)

[3-2-5]を止めるためには…

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【写真:Getty Images】

 昨シーズンから一気に増えた配置が[3-2-5]だ。EURO2020でも猛威を奮っていた配置なので、今季は多くのチームが採用するかもしれない。また、チャンピオンズリーグで多くのチームがこの配置を4バックで迎え撃つことを諦めていたことも印象的だった。アントニオ・コンテのユヴェントスを止めるために多くのチームが5バックを採用したように、相手に配置を変えさせて対応させる強さが[3-2-5]には備わっている。

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 [3-2-5]の最大の特徴は前線の[5]だ。チームによって特色はあるが、この5枚の役割は選手の位置するレーンによって規定されている。

 大外レーンに位置する選手はサイドからチームに質的優位をもたらせられるかが重要となる。ドリブル、パスによるチャンスメイクでチームに貢献できるかがカギとなるだろう。

 内側レーンに位置する選手は中央からゴールに絡むプレーが要求される。狭いエリアでボールを受けることができるか、味方を囮にしてゴール前に飛び込んでいけるか。そして、内側レーンに位置する選手の他のレーンとの大きな違いは、5レーンからの離脱が許されていることである。例えば、ビルドアップでボールが前進できない時に+1の役割になる選手は内側レーンに位置する選手であることが多い。

 この内側レーンと大外レーンに位置する選手はレーンをシェアすることが多い。特にSBやWBの選手を大外レーンに起用する場合は、内側レーンにいる選手を大外レーンに送ることで質的優位をチームにもたらせようとする。もちろん、SBやWBの選手が単独で1対1に勝てれば、レーンをシェアする必要はないかもしれない。WGの選手を大外レーンに配置することを重視しているからだ。

(文:らいかーると)

秋のフォーメーション集中講座! 『フットボール批評issue33』は9月6日発売。フォーメーション観をアップデートし、その攻防をよりロジカルに堪能することを試みた最新号
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『フットボール批評issue33』



≪書籍概要≫
定価:1650円(本体1500円+税)

秋のフォーメーション集中講座

今さら「フォーメーション」だけに特化したサッカー雑誌が、しかも東洋の島国から出るとの報せを、もし、イングランドのマンチェスター界隈、それもペップ・グアルディオラ、フアンマ・リージョが奇跡的に傍受したとしたら―。「フォーメーションは電話番号に過ぎない」と切って捨てる両巨頭に、「まだ日本ではそんなことを……」と一笑に付されるのだろう。いや、舌打ちすらしてくれない可能性が高い。

しかし、同誌はそんなことではめげない。先月無事に開催された東京オリンピック2020におけるなでしこジャパン戦のような感情論一辺倒の応援に似た解説だけでは、フットボールの深淵には永遠に辿り着くことはないと信じて疑わないからだ。「フォーメーション」と「フォーメーション以外」を対立させたいわけでは毛頭なく、フォーメーション観をアップデートし、その攻防をよりロジカルに堪能したい、ただそれだけなのである。

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【了】

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