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中島翔哉、8ヶ月ぶり復帰戦はどうだった? “何も変わらない”その姿、完全復調を果たすには…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

相変わらずのフリーダムなプレー



 まず、ポルティモネンセはリーグ戦から先発メンバーを大きくいじることなくオリヴェイレンセ戦に臨んだ。代表ウィーク直前に金星を収めたベンフィカ戦は5バックだったが、もともとポルティモネンセは4バックが基本布陣のチームで、カップ戦でも4-3-3のシステムで戦った。

 リーグ戦の主力メンバー以外で先発出場の機会を与えられたのは、イラン代表GKペイアン・ニアズマンド、中盤アンカーのMFペドロ・サ、センターFWのレナト・ジュニオール、そして3トップの左ウィングに配された中島の4人。ディフェンスラインや中盤2列目の構成はリーグ戦とほぼ同じになっていた。

 10番を背負った中島は、左ウィングではありながら、やや内側にスタートポジションを取った。時折アンカーの脇まで降りてディフェンスラインからパスを引き出し、捌いて前に出るような動きは長期離脱と何ら変わらない。

 ただ、前半は中島が効果的な形でボールを触れる機会が少なく、チームにとってプラスの影響をもたらせた場面は少なかった。確かに彼が内側に絞ったポジションをとることで、左サイドバックのDFファリ・カンデが積極的に高い位置を取り、盛んにオーバーラップを仕掛ける流れはできやすかった。

 しかし、ボールを奪われた瞬間に左サイドがガラ空きになってしまう場面も散見され、そこを中盤からインサイドハーフのMFルーカス・フェルナンデスが必死にカバーする。ファリ・カンデも必死に戻るが、中島はボールロストが起こった瞬間の切り替えが甘く、守備時はほとんどいないも同然。オリヴェイレンセに何度もサイドを破られ、度々決定的なピンチを迎えた。

 中島自身も、まだまだコンディションが万全とは言えない状況でプレーしていたに違いない。ドリブルに往時のキレはなく、ボール持つと相手に囲まれてファウルを受けてフリーキックをもらう場面は多くあったが、なかなか複数人を剥がしてチャンスを作るまでには至らなかった。

 数少ない成功例を挙げると、8分にピッチ中央付近でボールをもらってドリブルを仕掛けた場面だろうか。2人に囲まれたところを股抜きで突破してスタンドを沸かせたが、体を寄せられながら若干浮かせた中島のスルーパスは味方に通らず、シュートチャンスには結びつかなかった。

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