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中島翔哉、8ヶ月ぶり復帰戦はどうだった? “何も変わらない”その姿、完全復調を果たすには…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

トップ下に移ってビッグチャンスを演出



 ただ、彼のプレースタイルはどんなに離脱期間が長かろうとブレない。ピッチを自由に動き回り、左サイドで姿が見えなくなったと思いきや、いつの間にか右サイドでボールに絡んでいるような瞬間もある。オリヴェイレンセ戦は濃霧の中で行われていて、余計に動きがつかみづらかった。

 37分には右サイドを突破したFWアイウトン・ボア・モルチから送られたクロスを逆サイドに入っていたレナト・ジュニオールが頭で折り返すと、やや遅れてゴール前に入ってきた中島が詰める。しかし、わずかにタイミングが合わずシュートを打つことはできなかった。この場面のように、味方やボールの動きを見ながら積極的にゴール前へ顔を出す様子も見られた。

 前半は1-1で終了。ハーフタイムが明けると、パウロ・セルジオ監督は選手交代でチーム状況を好転させた。中盤アンカーのペドロ・サを下げ、ウィンガーのFWイバン・アングーロを投入。さらにシステムを4-3-3から4-2-3-1へと変え、中島を左サイドからトップ下に移した。

 すると全体のバランスが整い、求められるタスクが整理されたことで中島はより自由に振る舞えるように。もともと中央に寄ってきがちだったことを逆手に取って、彼の攻撃面におけるクオリティを最大限活用できる布陣に切り替えたと言えるだろう。

 広範囲に動き回るがゆえ守備においてはサイド起用がリスク要因になっていたが、攻から守への切り替えの局面での仕事を相手センターバックのけん制だけに絞れるトップ下なら、それほど大きな穴にはならない。

 ポルティモネンセは55分、ディフェンスラインからのロングパスに抜け出したレナト・ジュニオールがこの試合2点目となるゴールを奪って勝ち越しに成功する。そして、60分には中島のパスからレナト・ジュニオールにビッグチャンスが生まれた。

 中盤でボールを奪ったポルティモネンセはカウンターでゴールに迫り、中島がフリーで前を向く。そして並走してきた味方へスルーパスを送るが、19歳のストライカーは1対1のチャンスでGKにシュートを当ててしまった。

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