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中島翔哉、完全復活への道筋は? リーグ戦1039日ぶりゴール、見つかりつつある最適な起用法【コラム】

シリーズ:コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

ポルティモネンセで復活を遂げるには…

パウロ・セルジオ
【写真:Getty Images】



 だが、ベレネンセス戦でトップ下として先発した中島が、中盤の低い位置までボールを受けに下がる場面はほぼなかった。自軍ビルドアップ時にも自らのポジションを維持し、基本的にはハーフウェーラインよりも前に立っている。

 そして、ポルティモネンセの強みである両サイドバックが高い位置をとって攻め上がってくると、積極的にサポートに入ってサイド攻撃を活性化する。ボールを失った際のファーストプレス役としても最低限の仕事はこなしていた。

「前半は両チームともにゴールチャンスがあった。なぜなら我々が自陣で多くのミスを犯したからだ。ベレネンセスの選手の何人かが試合開始時にとったポジションに驚かされ、その問題を解決するのに時間を要してしまった。しかし、そうした細部の問題が解決された後はうまく戦えたと思う」

 パウロ・セルジオ監督は2-0で勝利したベレネンセス戦をこのように総括した。ハーフタイムに選手交代も行なうなど、微調整を繰り返しながらの試合の中で組織が大きく破綻しなかったのは、中島がしっかりとチームの中で機能していた証明でもある。

 後半に入って55分にはセットプレー守備からカウンターに移り、センターサークル内で味方からの縦パスを受けた中島は、ドリブルでゴール前に向かうと見せかけて左を駆け上がってきたアポンザにパス。追加点のビッグチャンスを演出した。

 かつての中島であれば自ら仕掛けるプレーを選択したかもしれないが、ポルティモネンセのトップ下に入っている最近は1タッチや2タッチで周りの味方を使うようなシンプルなプレーも増えている。テンポのいいパスさばきが攻撃を加速させることもしばしばあり、要所で発揮するキープ力も際立つようになった。

 ポルティモネンセは今後、中島を攻撃の軸に据えたチームへと変化していくだろう。その中で起用ポジションもトップ下に固定されていくのではないだろうか。チームの“王様”としての活躍が、かつて日本代表でも10番を背負ったファンタジスタの完全復活への道筋だ。

(文:舩木渉)

【了】

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