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ラングニック監督は初陣で何を変えたのか? 強いマンチェスター・ユナイテッドが帰ってくる。そう予感させる理由【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

新体制で重要な役割を果たしたのは…



 新体制となり、先述したように攻守に変化が見て取れたこの試合では、前半だけでシュートは12本を記録。7本のコーナキックを獲得するなど、試合開始からクリスタルパレスを圧倒していた。

 その中で重要な役割を果たしていたのが、ボランチの一角を担ったフレッジである。

 マンチェスター・ユナイテッドは攻め上がる際に、C・ロナウドにボールを当ててから攻撃を展開。これはロングカウンターでも、ポゼッションしている時でも徹底されていた。

 だが、ここで懸念されるのがFWとDF間の間延びである。いくら攻守の切り替えが速く、C・ロナウドにボールを渡せても、中央が手薄になればその後のプレスは機能せず、攻撃にも厚みは出ない。ただ前線にボールを運ぶだけで、すぐに相手にボールを渡してしまうことになる。

 そこで豊富な運動量で攻守のバランスを取り、中央で支えていたのがフレッジだ。

 攻撃面では常に前線4人の背後に位置し、DFからボールを引き出すだけでなく、C・ロナウドに縦パスを付けて攻撃のスイッチを入れた。さらに、チャンスには積極的に前線に上がっていくなど、攻撃に厚みを持たせていた。

 後半に先制点を決めた場面でも、フレッジは前線4人のすぐ後ろにポジショニング。密集したペナルティーエリア内から一歩引いた位置にポジションを取り、メイソン・グリーンウッドからパスを受けると、見事なミドルシュートを突き刺した。

 攻撃だけでなく、守備でも前線4人をサポート。ハイプレスをかわされ、縦にパスを付けられた際には受け手に強くプレスをかけていた。事実、フレッジはこの試合で両チーム最多タイの9回のタックルを記録。その内7回を成功させ、幾度も攻撃の芽を潰している。
 
 後半に疲れの見えたチームの中でもフレッジは、終始奮闘。チームの練度がこれからさらに向上していくことは間違いないが、この中核を担うのはこの男になるだろう。

(文:阿部勝教)

【了】

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