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アーセナルは劣勢をどのように跳ね返したのか? 2得点に関与した冨安健洋の評価は…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

2得点の起点となったのは…



 前述したように、試合開始からペースを掴んだのはサウサンプトンだった。前線からプレスをかけて敵陣でボールを奪い、立て続けに4本のシュートを放っていた。

 この劣勢の中でも先制点を決めたアーセナルの起点となったのは、右サイドバックでスタメン出場した冨安健洋だ。

 先制の場面、後方でのパス回しが相手に引っかかっていたアーセナルは、中盤を経由しつつ、ダイレクトパスを使いテンポを上げて対応した。右サイドでボール受けた冨安は、冨安→ウーデゴール→冨安→サカと攻め上がるアーセナルの起点となり、ペナルティーエリア内に侵入。相手DFの意識を引き付けたことでラカゼットがフリーなるなど、先制点を決めた流れの中で中心となった間違いなく冨安の存在だ。

 さらに2点目の場面、アーセナルはペナルティーエリア内が数的不利となっていたが、ファーサイドでフリーとなっていたティアニーを見逃さなかった冨安は、折り返しが出来るように高めのクロスを供給。ダイレクトでの折り返しとはならなかったが、ティアニーがゴール前にボールを上げるとウーデゴールが頭で合わせ、追加点をゲットしている。

 得点の場面以外でも、高めにポジショニングを取って前線へのパスの供給、トーマス・パーティーやウーデゴールとの連係での崩しなど、様々なチャンスに関与した冨安は間違いなくこの試合の中心となっていた。

 これまで安定した守備でアーセナルの躍進に貢献してきた冨安は、守備だけでなく攻撃面でも存在感を発揮。世界最高峰のプレミアリーグで奮闘する日本代表DFは、この試合で自身の価値をさらに高めた。

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