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バルセロナ、自滅した相手にドローの理由は? まだまだ力不足、響いたのはあまりに大きすぎる問題【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

流れを変えた一つの愚行



 それでもバルセロナは身体を張り攻撃を食い止めると、前半終了間際に歓喜。CKからアラウホが打点の高いヘディングシュートを流し込んだ。

 1-1で迎えた後半は前半とは違い、セビージャが主導権を握った。その理由はロペテギ監督の修正にある。最初の45分間はCBへの対応が曖昧だったが、後半はブスケッツ担当だったラキティッチも前に出すなどプレス強度を高め、バルセロナのビルドアップを制御しにきたのだ。先述した通り前半は単独行動が多かったものの、後半はチームとしてハイプレスが機能していた。

 それを受けたバルセロナは、ブスケッツを最終ラインに落とすことでビルドアップの安定化を図っていた。しかしセビージャのインテンシティーは非常に高く、どうしても苦し紛れのロングボールが増える。ボールを持っては蹴らされ、押し込まれる…シャビ監督にとってもストレスの溜まる時間が続いていた。

 しかし、そんな見応えのあるゲームが64分の出来事でガラッと変わった。ジョルディ・アルバに少し身体を当てられたジュール・クンデが激昂し、アルバの顔面にボールを投げて一発退場を命じられたのである。試合後ロペテギ監督は「少し経験が足りないし、年齢的な問題もあるが、二度とこのようなことがないように、これから学んでいってくれるだろう」と話したが、あまりにもお粗末な行動だったと言わざるを得ない。

 自滅行為で一人少なくなったセビージャはオカンポスを一列下げ、5バックを形成。後半立ち上がりのようなハイプレスは、当然繰り出せなくなった。

 対するバルセロナは再びボールを保持できるように。全体のラインを上げ、全力で追加点を狙いにいった。

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