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バルセロナ、自滅した相手にドローの理由は? まだまだ力不足、響いたのはあまりに大きすぎる問題【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

戦術デンベレが発動



 クンデ退場後、多くの見せ場を作ったのが右WGのデンベレだった。

 爆発的なスピード、そして両利きという申し分ない技術を兼ね備えたフランス人は、何度もボールを受けては1対1を仕掛け、クロスやシュートを積極的に狙った。後ろに人数を揃え引いた相手をパスだけで崩すのは難しく、そのような場合は個で打開しポジショニングのズレを生じさせることが必要となる。そういった意味で、デンベレの存在はバルセロナにとって貴重だった。

 シャビ監督もデンベレの仕掛けが一人少ないセビージャにダメージを与えることを理解していたのだろう。「右にボールを回せ」と指示を送る場面があった。もはやクンデ退場後のバルセロナは“戦術デンベレ”となっていた。

 しかし、デンベレはポスト直撃のシュートこそ放ったが、結局はチームに2点目を与えられず。途中出場ルーク・デ・ヨングも何も出来ぬまま試合終了のホイッスルを聞くなど、ここでも「絶対的な点取り屋不足」というあまりにも大きな問題が響いてしまったと言わざるを得ない。

 一人少なくなったとはいえ、経験値も実力もあるセビージャ相手に若手も多いバルセロナが敵地で勝ち点1を奪ったことは少なからず収穫と捉えてもいいだろう。ただ、こういった“勝たなければならない試合”で勝てないのは、やはりまだまだ力不足と言わざるを得ない。

 ここからバルセロナはしばらくオフに入るが、シャビ監督はチームの現状をうまく整理しアップデートできるのか。また、財政的に厳しい状況の中で新たなストライカーの獲得はあるのか。この冬の過ごし方は重要となるだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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