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セリエA 2年前

ミラン、ローマに3-1勝利の要因は? 主力に欠場者続出もなんのその、まるでガットゥーゾのようだったのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ローマを苦しめたミランの…



 この日のミランは、立ち上がりからチーム全体としての守備が非常によく機能していた。

 前線の選手は高い位置からのプレスを意識高く行っており、後ろの選手たちもしっかり連動しているため、ミランは常に良い距離感が保てていた。また、攻守の切り替えも抜群に速い。そのためローマにボールを蹴らせ、セカンドボールを回収してすぐ攻めに転じる、というシーンが開始早々から多く見られた。

 ローマのツートップ、タミー・エイブラハムとニコロ・ザニオーロに対してはCBのカルルとガッビアが注意深く対応し、簡単には前を向かせない。そこに中盤のサポートが素早く入ることで、常に2対1となるような状況を作っていた。サイドに逃げられた際は必ず一人が縦のコースを切り、他の選手は近い相手にそれぞれマンマーク気味に対応することで、ローマの出口を塞いでいた。

 2点目のシーンは、まさにミランの良い守備が表れていた。ローマが左サイドに逃げたところでアレッサンドロ・フロレンツィが縦のコースを封じ、その周囲をマンツーマンで消す。そこで相手にバックパスを選択させたことで、全体として前向きにプレッシャーを与えることができていた。そして、最後は結果論になってしまうが、イバニェスのミスパスを誘発している。

 ミランの守備が早くから機能し、ローマを苦しめていたことはデータにも表れている。『Who Scored』によれば、アウェイチームは30分の時点でシュート1本。反対にミランは9本ものシュートを放ち2点を奪っている。この30分間のクオリティーが、この日の大きな勝因と言っても過言ではないだろう。

 ローマを率いるジョゼ・モウリーニョ監督も「パフォーマンスはとても低レベルだった。立ち上がりの2失点を見ると、我々は安易にボールを与えてしまった。今日は本当にクオリティーが足りなかった」と試合後に悔やまざるを得なかった。

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