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セリエA 2年前

ミラン、ローマに3-1勝利の要因は? 主力に欠場者続出もなんのその、まるでガットゥーゾのようだったのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

圧巻のパフォーマンスだったのは?



 そんなローマ戦において圧巻の輝きを放っていたのがサンドロ・トナーリだ。

 ロマニョーリ、トモリ、ケアーが不在の中でCBとして先発起用されたカルルとガッビアはよく奮闘していたが、若くまだまだ経験も浅いので、やはり不安を感じさせるプレーもいくつかあったのは事実。しかし、そんな彼らをトナーリが見事にサポートしていた。

 運動量豊富に、そして集中力高くピッチを走り回り、球際の競り合いではことごとく勝利。中盤のフィルター役として、これでもかと機能した。上記した通りCBのカバーリングも高いレベルで行っており、とくにローマ攻撃陣の核であるザニオーロを徹底的に封じている。そのパワーと気迫は、まるでレジェンドMFジェンナーロ・ガットゥーゾを彷彿とさせるものがあった。

 前半アディショナルタイムの対応は見事の一言だった。ザニオーロを止めようとしたガッビアが綺麗に入れ替わられボックス内に侵入されたが、トナーリが懸命にカバーリング。最後はしっかりと身体をぶつけ、ノーファウルでマイボールへともっていったのだ。トナーリがいなければ、ミランはさらに失点を重ねていたのかもしれない。

 試合後にはステファノ・ピオーリ監督も「2000年生まれで、これほど個性的な選手はいないだろう。彼は試合の両局面で素晴らしかった。彼は間違いなくさらに成長できるし、それを続けなければならない。我々にとって重要な選手であることを証明したのだから」とトナーリを絶賛している。

 ブレシアから移籍してきた昨季は新たな環境への適応に苦しんだ印象が強かったトナーリだが、ミラン2年目の今季はここまでセリエA全試合出場。明らかに、1年目とは違う姿を披露している。代表活動のためケシエとベナセルがしばらく不在となる中、この若きイタリア人MFの活躍がミランにとっては不可欠となるだろう。

(文:小澤祐作)


【了】

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