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南野拓実に「クロップ体制最悪の契約」と非難轟々。アーセナル戦で戦犯扱いの理由とは?【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

終盤に決勝ゴールの絶好機が訪れるも…



 戦犯の1人として猛烈な批判を浴びているのが、南野だ。母国代表の一員としてアフリカ・ネーションズカップ参加するべくFWモハメド・サラーとFWサディオ・マネがチームを離れている間、得点源としての責任を背負って戦わねばならない立場にある。

 実際、今回のアーセナル戦でも南野の積極性は際立っていた。13分には左サイドから鋭いクロスを送ってゴール前で誰かが触れば1点というビッグチャンスを演出し、後半開始直後の47分には直接ゴールインかと思われた絶妙なクロスでスタンドを沸かせる。

 個人スタッツを見ても90分間でシュート6本はチーム内最多の数字だ。ともに3トップを組んだFWロベルト・フィルミーノやFWジオゴ・ジョタはいずれもシュート0本に終わっていることからも、南野がいかに積極的にチャンスシーンに絡んでいたかがわかる。

 それでも試合が終わってSNSを見てみると「南野はクロップ体制下で最悪の契約だ!」などと激しく批判されているのである。原因は試合終了間際の90分に訪れたチャンスシーンにあった。

 MFアレックス・オックスレイド=チェンバレンがリバプールの右サイドから上げたクロスを、アーセナルのGKラムズデイルが味方と交錯しながらパンチングで弾き出す。そのこぼれ球に反応した南野だったが、無人のゴールを前にした絶好機でシュートをふかしてしまった。

 ボールがゴールの遥か上に外れるとスタンドのファンも南野も同時に頭を抱える。決めれば勝って第2戦につなげられていた重要な場面で試合中最大のチャンスを逃し、10人の相手にスコアレスドローという結果を招いてしまった。

「一体どうやったら目の前の空っぽのゴールまで5mの距離からシュートを外せるんだ…」

「ミスして外すよりもゴールを決める方が簡単だっただろうに…」

 試合を通じてのパフォーマンスがいくらよかろうと、重要な1つのチャンスを外せば落胆を生み、評価も180度変わってしまうのがイングランドの厳しいところ。サラーやマネといった攻撃の軸となる選手たちが不在の中で、最もアピールしなければならない立場だっただけに痛すぎるシュートミスだった。

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