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久保建英 2年前

久保建英をもっと評価すべき! そのポイントとは? 決勝点演出だけではない成長【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

今冬の補強は大成功? 躍動する巨人



 その理由は、最前線に張るヴェダト・ムリキのパフォーマンスにある。

 今冬ラツィオからマジョルカに加わったムリキは、ルイス・ガルシア・プラサ監督にとって理想的なFWだった。身長194cmの巨躯を活かし、最前線でターゲットマンとしての役割を高いレベルでこなしてくれるからだ。前節のカディス戦で、ムリキはさっそく自身の価値を証明していた。

 そしてこのビルバオ戦でも、ムリキの存在感は際立っている。

 マジョルカはビルドアップ時、ビルバオによる強度の高いプレスを受け簡単に蹴り出すことがほとんどだったが、ムリキが前でしっかりと競り勝ってくれることで、結果的に良い攻撃へと繋がることが多くなっていた。当然ビルバオからすると、前からハメにいったのにチャンスを作られるので、ストレスが溜まる。それは主将イケル・ムニアインやマルセリーノ・ガルシア監督の表情からも明らかで、その点含めマジョルカの方が優位に試合を進めることができていた。

 ムリキが最前線にいると、2列目の選手による距離感も非常に良くなる。つまり、ワントップの孤立が少ない。先述した通り同選手が高確率でボールを収めたり、セカンドボールを拾ってくれるので、そこに対する信頼の表れから自然にそうなっていると捉えて良さそうだ。そのため、マジョルカの攻撃は以前よりも流れがよく、かつ厚みが増した印象を受ける。ルイス・ガルシア監督も「ムリキがいることで、中盤の選手たちは少し自由になることができている」と手応えを感じているようだ。

 非凡なフィジカルを活かし、3点中2点に絡んだムリキは、データサイト『Who Scored』によると、この日の空中戦勝利数が両チーム最多の7回となっていたよう。これだけでも、いかに同選手が最前線で身体を張り、相手DFを無力化していたかがわかるだろう。基本的には攻められる側で、長い時間ボールを保持できないマジョルカにとって、なんてことないクリアボールですらチャンスの種に変えてしまうこの男の存在はかなり大きい。今冬の補強は、現時点で大成功と言っていいだろう。

 しかし、これだけのハイパフォーマンスを披露しながら、ビルバオ戦のキング・オブ・ザ・マッチに選出されたのはムリキではなかった。日本代表MF久保建英である。

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