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久保建英 2年前

久保建英をもっと評価すべき! そのポイントとは? 決勝点演出だけではない成長【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

決勝点演出だけではない久保の活躍



 右サイドハーフで先発を果たした久保は、入りこそあまり良くなかった。コントロールが大きくなったり、パスがズレたりと、らしくない場面が目立っていた。

 それでも、徐々にリズムを取り戻したのは流石である。とくにこの日は内側でパスを受ける動きが冴えていて、何度か相手DFの嫌がる位置でボールを引き出している。また、ドリブルで1対1を仕掛けるシーンは一度あったかどうかといったところだが、あと一歩でアシストになるようなキーパスは光っていた。

 そして88分である。ボックス内でムリキのコントロールが大きくなり、久保の元へボールが転がると、そのまま左足でシュート。これがポストを弾き、シモンの頭に当たってゴールへ吸い込まれた。結果としてオウンゴールにはなったものの、ほぼ久保の得点と言っていい。この勝利を手繰り寄せた一撃が、キング・オブ・ザ・マッチ選出の大きな理由と言えるだろう。

 しかし、この日の久保はもっと評価されるべき部分があった。それが守備時の対応である。

 この日のビルバオは主将で攻撃の核でもあるムニアインのいる左サイドからの攻めが全体の40%を占めており、その分久保が守備に回る機会も多かった。とくに後半は、マルセリーノ監督が左サイドバックに攻撃的なユーリ・ベルチチェを置いたことで、より難しい対応を強いられている。

 以前までの久保であれば、戻りが遅れたり、簡単にマークを見逃してしまうことが散見された。ビジャレアル時代、ウナイ・エメリ監督から「タケー!!」と怒号が飛ばされ、慌ててディフェンスに回っていたのは周知の事実だ。

 しかし、今回の久保は穴になることがなかった。攻守の切り替えが抜群に早く、懸命な帰陣なSBへのサポートも欠かさない。とくにビルバオ戦はポジショニングが絶妙で、しっかりとパスコースにも蓋をしていた。事実、この日の久保は全体1位となる3回のインターセプトを記録している(『Who Scored』参照)。これは大きな成長と言えるだろう。1失点目こそ右サイドを崩される格好となったが、全体的には文句なしの対応だった。

 ここにきての連勝は、残留を目指すマジョルカにとってもちろん大きな成果だ。ただ、シーズンはまだまだ続く。久保には引き続き、攻守両面での活躍が求められる。

(文:小澤祐作)


【了】

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