まさに革命。歴史の分岐点になったミランの[4-3-2-1]は何が凄かったのか?【クリスマスツリーの配置論/後編】

2022年02月18日(Fri)10時10分配信

text by 龍岡歩 photo Getty Images
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「クリスマスツリー」とも呼ばれる[4-3-2-1]のフォーメーションで成功例として誰もが思い浮かべるのが、カルロ・アンチェロッティが率いたミランだろう。当時のミランの強さの秘訣とは何だったのか? 1日平均5試合、年間1500試合を観戦する変態による変態フォーメーション本『サッカーフォーメーション図鑑 配置の噛み合わせが生む位置的優位性を理解する』(龍岡歩著、2月15日発売)より、05/06シーズンのミランを一部抜粋し、前後編に分けて公開する。(文:龍岡歩)





円熟期に入ったミラン

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【写真:Getty Images】

 [4-3-2-1]のフォーメーション自体も運用3年目を迎えたアンチェロッティが抜群の手腕を見せていた。リードを守る試合展開や相手に応じて守備的なMFのマッシモ・アンブロジーニを使うことでフォーメーションはそのままに、より守備的なバリエーションを併用している(アンブロジーニがクラレンス・セードルフの位置に入り、アンドレア・ピルロの左右をジェンナーロ・ガットゥーゾとともにプロテクト。ルイ・コスタの代わりにセードルフが1列上がってOHへ)

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 さらにアンドリー・シェフチェンコとエルナン・クレスポを2トップに、カカをOHに置いた[4-3-1-2]や、サイド攻撃が強烈なプレミア勢との対戦ではフラットな[4-4-2]も使い分けるなど完全にチームは円熟期に入っていた。

 だが、このアンチェロッティミランの成功を語る時、その最大の成果といえばやはりピルロのAC抜擢をおいて他にない。当時、中盤の底のエリアといえば相手の攻撃を潰すことに主眼が置かれていたセリエAにあって、それはまさに革命と呼ぶべき発想の転換であった。[4-4-2]が主流のリーグにあってOHは厳しくマークされる対象となっていたが、ACは明確なマークのいない空白地帯だ。マークを背負って受けるOHと違い、常に前を向いてボールを受けられるACというポジションはピルロの展開力を活かす天職となっていく。

 その後、ピルロ自身はイタリアを代表するゲームメイカーに上り詰めていくことになるのだが、もしこのコンバートがなかったら2006年W杯のイタリア優勝もなかったのではないか。考えるとこの配置は歴史の分岐点でもあった。そしてピルロの成功以降、カルチョにも少しづつ中盤にゲームメイカーを置く考え方が広がっていき、今では中堅クラブでさえ当たり前になっている。あとから振り返ってみても歴史を動かしたチームだったのだ。

(文:龍岡歩)

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<書籍概要>

定価:1870円(本体1700円+税)
1日平均5試合、年間1500試合を観戦する変態による変態フォーメーション本

サッカーフォーメーション界のイロハのイ[4-4-2]から滅多にお目にかかることのない[3-4-3(ダイヤモンド)]までを完全網羅した、フォーメーション変態のフォーメーション変態によるフォーメーション変態のための一冊。4バックと3バックのフォーメーションに分け、フォーメーションごとの強みと弱み、メカニズム、観戦チェックポイントを紹介し、対全布陣噛み合わせ一覧、過去の名チーム、フォーメーション名勝負数え歌なども収録。

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【了】

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