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マンUはなぜ上昇気流に乗れないのか。哲学が浸透しない原因、CL出場権を得るための現実的な策とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

来季CL出場権は怪しい?



 そもそもマンチェスターにやって来る前のRBライプツィヒやザルツブルクでは、スポーツ・ディレクターとして手腕を発揮。自らのコンセプトに見合った選手と監督をスカウンティングして獲得することで、ライプツィヒはドイツ国内だけでなく欧州の舞台でも躍進し、ザルツブルクでは優秀な選手が育ち、欧州のビッグクラブに羽ばたいていった。だからこそ、マンUは昨秋、来季以降はフロントに入るという前提で“教授”と2年契約を結んだのだろう。

 しかし、見方を変えれば、主に戦術面でクラブの方向性を統括するディレクターが適任のラングニックは、シーズンの途中で現場の監督に就任してチームを立て直すタイプの人間ではないのではないだろうか。繰り返すが、マンUの既存のメンバーは、C・ロナウドも含め、自らのコンセプトを理解して体現できるかスカウンティングして獲得した選手たちではない。

 簡単に言ってしまうと、プレシーズンを含めて時間が十分にあったとしても、前オーレ・グンナー・スールシャール政権から引き継いだ選手たちが、“ラングニックの哲学”を十分に体現できるとは限らないのだ。ここに、ラングニックに与えられた仕事の根本的な難しさがあるのではないか。そういった意味では、選手の編成で来夏に大ナタが振るわれる可能性はある。もちろんC・ロナウドもその中に含まれ、“選考”の対象となるだろう。

 話を今季残りのプレミアリーグに戻すと、マンUは来季のCL出場権を逃す可能性は十分にある。その理由は、前述のとおり、“教授”の嗜好するサッカーを選手たちが体現できるまでにコンセプトが浸透する時間が少ない、ということと、そもそも現在の“赤い悪魔”のメンバーがラングニックがスカウトした選手たちではない、ということだ。

 来季も欧州最高峰の舞台に出場する可能性があるとすれば、“教授”が自らの哲学を既存のメンバーに合わせて微調整することが考えられるが、果たして――。

(文:本田千尋)


【了】

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