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セリエA 2年前

ACミランがインテルを苦しめた方法とは? いつもと違った攻撃の良さ、タイトル獲得へ向けた感触は…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

疲労困憊のインテルに効いたのは…



 この日のインテルは疲労の影響か、全体的に重かった。ナポリ、リバプール、サッスオーロといったタフな相手と短いスパンで試合を行ってきたので、それも無理はない。シモーネ・インザーギ監督も「我々は体力、そして精神的なエネルギーを回復させようとしている」とミラン戦後にコメントしていた。

 そんなインテルに対し、ミランのハイプレスは抜群の効果を示していた。

 相手の3バックに対してはオリビエ・ジルー、サレマーカーズ、ラファエル・レオンの3人、中盤底マルセロ・ブロゾビッチにはトップ下ラデ・クルニッチが対応。ウイングバックにはサイドバックが付き、インサイドハーフ2枚をダブルボランチが監視することで、ミランはインテルのビルドアップを阻止した。

 先述した9分の決定機は、まさにミランの守備がハマったことで生まれている。ハンダノビッチにボールが戻ると、ジルーがステファン・デ・フライへのコースを切りながらプレス。そこにレオン、クルニッチ、サレマーカーズがしっかり反応したことで、深い位置で相手のミスを誘発することができたのだ。

 疲労困憊で身体が重く、ミランの強烈なプレスにも手を焼いたインテルはエディン・ジェコ目がけて深い位置からロングボールを送り込むことも多かった。しかし、これをフィカヨ・トモリやロマニョーリ、途中出場カルルが冷静に対応。セカンドボールはイスマエル・ベナセルやフランク・ケシエが確実に回収することで、ミランは立ち上がりからインテルを上回り続けていたのだ。

さすがに前半ほどの強度こそなかったものの、後半もミランイレブンはよく足を動かし、出られるところは確実に出てショートカウンターから何度かチャンスを作っていた。この意識の高さが、インテルを苦しめた最大の要因と言えるだろう。

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