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旗手怜央のパフォーマンスは下り坂。前半のみで交代、薄れるインパクト。サッカー日本代表への影響は…【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

セルティックでのパフォーマンスは右肩下がり



 旗手らしくないプレーだった。ダンディー・ユナイテッド戦に関して言えば、イエローカードの場面だけではない。序盤こそ普段通りのパフォーマンスに見えたが、徐々に簡単なボールロストが目立つようになり、いつもの繊細なコントロールが失われていた。そして、冷静さを欠いた不必要なタックルでイエローカードまでもらってしまったのである。

 アンジェ・ポステコグルー監督が「ピッチコンディションは簡単ではなかったが、全ての意図と目的を果たすために、我々は必要な仕事をした」と高く評価したチームの中で、旗手のぎこちなさはいささか浮いて見えた。

 その結末が、ハーフタイムでの交代である。2度目の警告を受けて退場になるリスクを恐れたわけではないだろう。90分を通して相手の枠内シュートを0本に抑え込み、しっかりとコントロールできていたゲームのバランスを旗手1人の不振によって壊すわけにはいかないという判断があったと思われる。

 ポステコグルー監督は温情で選手をピッチに立たせるようなタイプではない。むしろダメだと思ったら即座にベンチに下げる胆力と、ドラスティックに勝利を追い求める姿勢で結果を残してきた。

 旗手が指揮官から一定以上の信頼を得ているのは間違いない。加入してから国内リーグ戦は全試合に出場させているし、欧州カップ戦などで必要に応じて休息も与えている。後半戦に入ってからはロギッチよりも多くのチャンスを与えている印象だ。

 だが、あるセルティックファンがSNSに「最近の旗手は振るわないが、輝いていたハイバーニアン戦やレンジャーズ戦の影を追いかけてしまう」と投稿していたように、2月中旬以降はデビュー戦の頃のインパクトがだいぶ薄れてしまった。

 2得点を挙げた2月2日のレンジャーズ戦を最後にゴールはなく、アシストも2月9日のアバディーン戦以降はなし。プレーの躍動感も徐々に下り坂で、とうとうハーフタイムでベンチに下げられてしまった。

 セルティック専門メディア『67 Hail Hail』も、記事の中で「旗手への疑問」という見出しをつけて「彼が初めてクラブ(セルティック)に来た時、私たちが見た彼には威厳があった」としながら現状を憂いている。

「旗手がチームにもたらすのは、非常に高いレベルのエナジーだ。たとえ彼がインターセプトや直接のボール奪取、タックルをしなくても、(チームが)ボールを奪い返すには彼のプレッシングが不可欠となる」

 文章は「問題は今後、どうするかである」とポジション争いの話題に続くが、間には反語的に「今はそのプレッシングが見られない」という意味が込められているのだろう。

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