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バルセロナに何が起きている? 19年ぶりの本拠地連敗。機能しない攻撃と不安定な守備の原因とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

リズムが変わらない単調な攻撃



 カディスは守備時にかなりコンパクトな4-4-1-1のブロックを形成。最終ラインと2列目が近い距離を保ち、バイタルエリアを消す守備陣形を組んでいた。これによりバルセロナは中央からの崩しが困難となったため、両サイドを起点に攻撃を展開した。

 しかし、右からの攻撃はデンベレだより。同選手がサイドライン際まで広がって相手を寄せ付けても味方のサポートはなく、突破したとしてもペナルティーエリアに入っているのはメンフィス・デパイとフレンキー・デ・ヨングの2人のみ。クロスを上げても数的不利のため決定機にはなっていなかった。

 逆に、左サイドのフェラン・トーレスがボールを持った際は、ジョルディ・アルバやガビがサポートしていた。近い距離でパスを回すが、パススピードは変わらず一定。誰もドリブルを仕掛けるそぶりや裏への抜け出しもないため、ただボールを回すだけになっていた。

 引いた相手を崩すには、左右にDFラインを揺さぶって中央にスペースを作るか、裏に抜け出す必要がある。だが、この日のバルセロナはロングパスをほとんど使わずに、一定のパススピードで中盤を経由してサイドチェンジしていた。これでは相手DFを揺さぶることが出来ず、守備陣形を保ったままついてこられてしまっていた。

 失点後にオーバメヤンやトラオレらを投入してもリズムや攻め方は変わらない。トラオレにパスを回して1対1からクロスの繰り返し。89分には、DFの背後を取ったオーバメヤンがジョルディ・アルバのアーリークロスに合わせたシュートはあったが、決定機と呼べるのはこれくらいのもの。

 ペドリがいなかったからなのか、それともシャビ・エルナンデス監督の采配が機能していなかっただけなのか。どちらかは分からないが、バルセロナは90分通して18本ものシュートを放つも、単調な攻撃故に、カディスから1点も奪うことが出来なかった。

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