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横浜F・マリノス時代が活きた前田大然の動きとは? ポステコグルー監督がセルティックで確立する「自分たちのサッカー」【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

今季を象徴するセルティックの快勝



「ハーフタイムに2-1でも、それにあぐらをかいて戦いたくはなかった。我々は自分たちのサッカーをしたかった」

 セルティックを率いるアンジェ・ポステコグルー監督は試合後、クラブ公式のインタビューの中でそう語った。どんな状況になっても、信念に従ってこれまでやってきたことをブレずにやり続ける。この一貫した姿勢が4-1という最終スコアにつながった。

 後半も高い強度を維持して攻め続けたセルティックは、69分にDFグレッグ・テイラーからのお膳立てを受けたオライリーが追加点を挙げると、90分に途中出場のFWギオルゴス・ジャコマキスがダメ押し。ハーツに反撃の隙をほとんど与えることなく押し切った。

 古橋や前田は64分と比較的早めの時間帯に交代となったが、代わりにベンチから出てきたMF旗手怜央やFWリエル・アバダ、そしてジャコマキスといった選手たちがサッカーの質を落とさず戦えたからこその4発大勝だった。

「これは選手たち全員による大規模な共同作業なんだ。彼らが彼らのパフォーマンスにふさわしい報いを受けたことを非常に嬉しく思う」

 ポステコグルー監督は「選手たちのことを本当に誇りに思う。彼らは我々がやろうとしていることへの情熱や信念を見失っていなかった」と、勝利を引き寄せたチームの奮闘に賛辞を送った。

 前節のレンジャーズ戦は先制しながら惜しくも勝利を逃す結果となったが、今節のハーツ戦はまさに王者にふさわしい、今季を象徴する試合だったと言えるだろう。昨年夏までJリーグで指揮を執っていたオーストラリア人指揮官は、欧州で偉業を成し遂げようとしている。

 セルティックは36試合を終えて28勝5分3敗、勝ち点89で首位を快走している。2位との勝ち点差は現在9ポイントとなっており、もし8日の試合でレンジャーズが引き分け以下ならその時点でセルティックの優勝が決まる状況だ。

 リーグ戦では昨年9月26日に行われた第7節のダンディー・ユナイテッド戦以来一度も負けておらず、30戦連続無敗という驚異的な成績を残してきた。欧州で選手としての実績がなく、就任当時は監督としても無名に近かったポステコグルー監督は、わずか1年でスコットランドでも「自分たちのサッカー」を確立してリーグ優勝にあと一歩のところまできた。

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