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横浜F・マリノス時代が活きた前田大然の動きとは? ポステコグルー監督がセルティックで確立する「自分たちのサッカー」【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

セルティックのリーグ優勝は間違いなし

アンジェ・ポステコグルー
【写真:Getty Images】



 今節ハーツ戦のスタメンを見ても11人中7人が今季の新加入選手で、交代でピッチに立った5人のうち3人も今季からセルティックでプレーしている選手だった。前田や旗手、オライリーに至っては冬に獲得したばかりだが、そういった新戦力を見事にまとめあげて1つのチームに仕立て、今季2つ目のタイトルを獲得しようとしているのである。

 ポステコグルー監督は2018年から約3年半をかけてマリノスに「アタッキング・フットボール」の文化を根づかせ、クラブの根幹からピッチ上に至るまであらゆる面に大きな改革をもたらした。

 そのマネジメント手腕が評価されてスコットランドへ渡り、タイトル獲得が義務づけられたビッグクラブにもマリノス時代と共通した哲学を浸透させたうえで目標を達成する。さらに欧州では無名だった古橋や前田、旗手といった日本人選手たちを信頼し、チームの中心に据えて成長を大きく後押しした。

 ポステコグルー監督はアジア人の選手や指導者に対する欧州での評価を覆すだけの能力を示したと言えるだろう。昨季は宿敵レンジャーズに25ポイントもの大差をつけられていたチームを瞬く間に自分色に染め上げて結果も残しているのだから、名将と呼んで差し支えないのではなかろうか。

 セルティックのスコティッシュ・プレミアシップ制覇はもうまもなく決まる。彼の率いるチームが現状から優勝を逃すことなどないと、断言してもいい。もはや国内二冠達成を疑いようもない。

 もしリーグ優勝を果たすと、来季はスコットランド王者がUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に本大会のグループステージから出場できると欧州の複数メディアが伝えている。例年であれば優勝しても予選からのスタートだったが、現在進行形で悪化の一途を辿るウクライナ侵攻の影響で来季もロシアのクラブが欧州カップ戦から締め出される見込みのためだ。

 少し気は早いかもしれないが、スコットランドで大きく飛躍を遂げた古橋や前田、旗手、そしてポステコグルー監督が欧州最高峰の舞台でどんな活躍を見せてくれるか楽しみで仕方ない。

(文:舩木渉)

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