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このままではW杯でも苦戦? スペイン代表は未完成。攻撃が単調で迫力がない原因とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

未完成の新スタイル



 スペイン代表は、ポルトガル代表戦で新スタイルとも言える「即時奪還からの速攻」をみせ、新たな時代の到来を予感させていた。しかし、チームが完成するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 先制点の場面では、敵陣でボールロスト後にフェラン・トーレスが瞬時にプレス。ペナルティーエリア手前でのパスカットからの速攻でゴールネットを揺らした。この攻撃は新スタイルがうまく機能した得点と言えるだろう。だが、この試合で新スタイルがハマったのはこの場面のみ。前線の選手はハイプレスを仕掛けてボール奪取後に速攻を狙っていたが、後続の選手が付いてこず、2枚目3枚目といった飛び出しがないため、シュートまで持ち込むことが出来ていなかった。

 ボールロスト後のハイプレスは徹底されていた。ボールに近い選手が瞬時にプレスをかけ、敵陣で奪い返す場面は何度も見られた。問題は”速攻”だろう。カウンターを仕掛けるのであれば、アタッキングサードで強引にでも前線の選手が相手DFの裏に抜ける必要がある。しかし、これがまだ出来ていない。

 21分の場面を見ればわかるだろう。スペイン代表は自陣でボールを奪うと、マルコス・ジョレンテが一気に駆け上がる。速攻を仕掛けるのであればここでフェラン・トーレスやアルバロ・モラタがダイアゴナルランで相手DFの背後を狙わなければいけないが、ただ並走するだけ。攻撃は止まってしまい、シュートまで持ち込めず、一度GKに戻してやり直すことになってしまっていた。

 数的不利だったという点はあるが、速攻を仕掛けるのであれば、裏へ抜ける選手がいなければ相手の脅威とはならない。先制点の場面のようにゴール前でしか「即時奪還からの速攻」が行えないのであれば、引いた相手を崩す他の攻撃オプションが必要になってくるだろう。

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