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このままではW杯でも苦戦? スペイン代表は未完成。攻撃が単調で迫力がない原因とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

新スタイルの鍵を握るのは…



 先述したように、ルイス・エンリケ監督がやろうとしている新スタイルは浸透しきっていない。そのため、攻撃はゴール前まで迫っても全く迫力がなかった。

 何とか1点を奪って勝利はしたものの、このままでは間違いなくW杯で苦戦を強いられることになる。攻撃面の改善は必須だが、新スタイルを貫くのであれば、完成の鍵を握るのは3トップの3人だろう。カウンター時、この3人の連携はほとんど見られなかった。

 両ウイングのフェラン・トーレスとパブロ・サラビアは、サイドライン際に張ったまま。中央に入ったり、下がってボールを受けたアルバロ・モラタの背後にダイアゴナルランするなど、柔軟な動き出しがほとんどなかった。

 モラタは最前線でボールを収めていたが、パスを出した後の動き出しはほとんど無し。ワンツーで裏へ抜けるといったプレーもなく、シュートはわずか1本に終わっている。

 インサイドハーフのガビやマルコス・ジョレンテがハーフスペースを上がる場面などもあったが、前線3人はただ後ろから付いていってクロスを待つだけ。サポートにもいかず、裏へ抜け出すこともなかった。

 これではただ個人技での単調な攻撃を続けるだけで、攻撃が機能しているとは言えない。新スタイルの速攻を遂行するのであれば、モラタが相手DFを釣り、空いたスペースにサイドの選手が飛び出すなどの連携がなければ、21分の場面のように攻め上がってもペナルティーエリア前で止まってしまう。

 W杯まで残り約5ヵ月。 スペイン代表はUEFAネーションズリーグ(UNL)中にこれらの問題を解決し、新スタイルを確立することが出来るだろうか。

(文:阿部勝教)

【了】

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