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久保建英 2年前

久保建英を待っていた2つの大きな壁。マジョルカでの重要度が低下…。それでもソシエダに評価される理由は?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ソシエダからの評価が落ちない理由は?



 その久保だが、来季のソシエダ入りが噂されている。同クラブは来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場が確定しており、移籍が実現するとなれば日本人レフティーにとって大きなステップアップとなる。

 ソシエダが久保の獲得に動いたのはこれで3回目。『AS』は「ロベルト・オラベSDは、クボのレベル、成長度、将来性から、ブレイクして素晴らしい選手になることを確信している」と伝えている。

 では、なぜマジョルカでリーグ戦1得点1アシストに留まり、監督交代後はレギュラーの座からも外された久保に対し、ソシエダは変わらず高く評価しているのだろうか。その理由は久保が残したスタッツにあると言えそうだ。

 久保は今季のリーグ戦で計1607分間プレーしている。これはGKを除き、マジョルカ内で7番目の成績となっている。決して多い数字とは言えない。

 しかし、攻撃面で残したスタッツは非凡。キーパス32本(チーム内2位)、ドリブル成功数40回(チーム内3位)、ビッグチャンス創出回数3回(チーム5位タイ)、ドリブル成功率62.5%(ドリブル成功数30回以上を記録した4選手の中では1位)となっている(データサイト『Sofa Score』を参照)。アシスト未遂が何度かあったのも事実だ。

 リーグ戦1得点1アシストは失格の烙印を押されても仕方のない結果だが、長期離脱などがありながら、それも攻撃に出る回数がそもそも限られるマジョルカで上記のスタッツを残したのは、ソシエダからすれば高く評価できるポイントなのだろう。そう考えれば、厳しい結末にこそなったものの、久保が過ごした2021/22シーズンは決して無駄ではなかったと振り返ることができる。

 久保のソシエダ入りが決まれば、アドナン・ヤヌザイやポルトゥの抜けた右サイドで起用されることが濃厚とされている。同クラブの代名詞はポゼッションを基調にした攻撃的なサッカーであり、周囲との連係から相手を崩す能力に長ける久保のスタイルとの相性は良さそう。また、ソシエダは若手の育成にも定評があるので、まさに日本人レフティーにとって理想的な場所と言えるだろう。

 ただ、もちろんソシエダは選手やプレーの質がハイレベルなので、高評価を得られているからといってレギュラーを張り続けることは容易ではない。とくに久保の場合、ペナルティーエリア内でフリーになるためのアクションやデュエルの強度という部分に課題を残しているため、そこが改善できなければビジャレアル時代のような苦戦を強いられることになりかねない。

 いずれにせよ、来季は久保にとって重要なシーズンとなる。噂されているソシエダでのプレーになろうが、その他のクラブでのプレーになろうが、リーグ戦10得点以上に直接関与するような結果がそろそろ欲しいところである。その先に、レアル・マドリード復帰という道が見えてくるはずだ。

(文:小澤祐作)


【了】

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