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マンチェスター・ユナイテッド、最悪の敗戦はなぜ起きた? 狙われた弱点、まだ足りないピースとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

機能していなかったのは…



 この日の勝敗を分けたのは、前半45分間だと言っていい。ユナイテッドは、ブライトンの狙いにハマってしまった。

 ブライトンは、基本的に1トップのダニー・ウェルベックが2センターバックを監視し、アダム・ララーナがアンカーのフレッジをチェック、そして両ウィングバックが相手サイドバックの位置まで上がることでユナイテッドのビルドアップを封じにかかっている。この連動性と集中力、そして強度は凄まじいものがあった。

 GKから丁寧にボールを繋ぎたいユナイテッドは、このブライトンの迫力に圧倒されている。とくに苦労していたのは、アンカーのフレッジだ。

 フレッジは機動力が魅力で、攻守の切り替えの早さも光るが、ゲームのリズムを生み出せるような、あるいはプレスを剥がせるようなパスセンスや視野を持っていない。そのためビルドアップにおける貢献度はあまりに低く、逆に危険なボールロストを犯すこともあった。

 9分にはGKダビド・デ・ヘアからフレッジにパスが出ると、ララーナの厳しいチェックを受けた同選手はダイレクトで右サイドへ。しかしそこにはレアンドロ・トロサールが待っており(恐らくフレッジは全く見えてなかった)、一気にピンチとなった。幸いフレッジ自らボールを取り返したことで失点は防いだが、ブラジル代表MFの弱点が垣間見えた瞬間だったことは間違いなく、これこそブライトンの狙いだった。

「ディフェンスのせいではない。チームとして守っているのに、中盤で不必要なパスミスを犯してしまい、その後で相手に支配されてしまった」

 試合後にテン・ハフ監督はこう振り返っている。本来フレッジの良さが表れるのはもう一つ前のポジションであることは明らかであり、やはり同選手をアンカーで起用した点は失敗と言わざるを得ないだろう。もちろん中盤の機能不全をフレッジだけの責任とするのは酷で、スコット・マクトミネイもかなりプレーの荒さが目立っていたが、いずれにせよここがブライトンの狙いにハマった1つの要因になってしまった。

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