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生まれ変わったマンチェスター・ユナイテッド。チームを変えた2人の新戦力とは?【22/23補強診断(4)】

シリーズ:22/23補強診断 text by 編集部 photo by Getty Images

好調の裏で抱える矛盾

【写真:Getty Images】



 カゼミーロはプレシーズンを戦っていないこともあり、まずは途中出場が主な起用法となっているが、彼と控えGKのマルティン・ドゥブラフカ以外は既にスタメンに定着している。

 彼らの活躍もあり、開幕2連敗からの4連勝と見違えるように蘇ったユナイテッドだが、現在のスタイルはテン・ハグ監督が開幕当初に望んでいたものではないだろう。開幕当初はポゼッションを意識し、最終ラインからも繋ぐサッカーを展開していたが、2節ブレントフォード戦での繋ぎのミスから大敗を喫したことで、3節以降は困ったら前線にボールを蹴る形へと応急処置的な形でスタイルを変更した。

 それはポゼッション率に顕著に表れており、2節までは60%以上の支配率を記録していたところが、3節以降はほとんどの試合が50%を大幅に下回っている。唯一の50%超えとなったサウサンプトンも52%と、テン・ハグ監督がアヤックス時代に展開していたようなポゼッションスタイルのサッカーができていると言い難く、そこには矛盾が生じている。

 プレミアリーグで連勝が続いている今、そのスタイルを変更することは現実的ではない。移籍市場開幕当初に獲得候補だったユリエン・ティンバーやフレンキー・デ・ヨングを獲得できていれば、その移行がスムーズに行えただろうが、中盤に獲得したのは圧倒的な守備力を誇るカゼミーロだった。

 カゼミーロ加入によるメリットも当然ながら大きく、ブルーノ・フェルナンデスやエリクセン、そして前線の選手が今まで以上に攻撃にリスクをかけることができる可能性は高い。テン・ハグ監督は現有戦力が最も輝く戦い方を見極めつつ、その中で自分のエッセンスを徐々にでも出していきたいところだ。

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