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代表 2年前

スペイン代表は「酷い内容」。サッカー日本代表戦でもあり得る、典型的な負け方とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

ルイス・エンリケ監督も認めたひどい内容



 結論から記すと、この日のスペイン代表に怖さが感じられなかった。

 とくに前半の内容はお世辞にも褒められたものではなかった。エンリケ監督も「前半は私がこのチームの監督となってから最も酷い内容だ」と試合後に認めていた。

 3トップとして並んだのがフェラン・トーレス、マルコ・アセンシオ、パブロ・サラビアと純粋なCFタイプがいなかったというのもそうだが、とにかく崩しの形が見つからない。ブロックの外でパスを回して深さを取ることはできるが、最後は人数の揃っているスイス代表DF陣に対してクロスを上げるだけ。当然この攻め方では通用せず、何度も跳ね返されていた。それは先述のデータを見ても、ある程度イメージできるだろう。

 55分のゴールは美しかった。アセンシオが飛び出てきたCBニコ・エルベディを剥がし、もう一枚のCBマヌエル・アカンジをつり出すと、サラビアが斜めへのランニングで右SBのシルヴァン・ヴィドマーを引き連れる。それにより空いた左の広大なスペースにアルバが走り込み、アセンシオからのパスを受けて豪快にシュートを突き刺した。

 こうした崩しの局面における連動性が、前半には全くなかった。そのためスイス代表DF陣の目線なども動かず、非常に守りやすい状態を与えてしまったと言える。

 後半はフレッシュな選手が入ったことなどもあり、スペースを突く動き、ボックス内に侵入する機会が増えたが、フィニッシュの部分は相変わらず。怖さがないということに変化はなかった。

 もちろんスイス代表の守備も讃えなければならない。ジブリル・ソウがセルヒオ・ブスケッツのマンマークを徹底、ジェルダン・シャキリとルベン・バルガスの両サイドハーフは、まず相手のインサイドハーフへのパスコースを消すことを優先にしてサイドバックのプレスに出ていき、攻撃の起点を潰すなど、準備してきたことをしっかりとピッチ上で体現していた印象だ。ボールを動かされ続けストレスはあったはずだが、集中力を欠くことはなかった。

 だからといってスペイン代表の敗戦を「じゃあ仕方ないよね」で片づけることはできない。スローペースで入り、先制点を奪われるなど、自分で自分の首を絞めてしまったことは大いに反省すべきだ。

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