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久保建英 1年前

久保建英は相手を困らせていた。最多の数字は? かつての指揮官に見せた成長【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前半は苦戦。しかし後半は…



 前半の久保はあまり存在感がなかった。ビジャレアルがオーソドックスな4-4-2を敷いてリトリートしてきたため、使えるスペースがなく、なかなかボールが入らなかったのだ。事実、前半のタッチ数はアレクサンダー・セルロートに次いでフィールドプレーヤーワースト2位となる16回となっている。また、いつもは左サイドに開いて幅を取るが、この日その役割は左SBで先発したアイエン・ムニョスに任されており、久保はほぼ中央に留まっている。

 ただ、久保の影は少し薄かったが、チームとしてはうまく流れを掴んでいた。リトリート戦術を取るビジャレアルだが、個々の強度はあまり高くなく、とくに左SBムニョスの仕掛けは利いていた。攻守の切り替えも早く、たとえボールを失ったとしても、すぐに奪い返すなどカウンターすら打たせていなかったのだ。

 ソシエダはブライス・メンデスの得点で1点リードを奪ったまま後半に向かうことに成功。その後半はビジャレアルが前に出てきたことで、久保が少しずつ存在感を発揮できるようになった。

 最大のハイライトは51分、久保が左サイドでボールを持つと、ワンテンポ置いてGKとDFの間に鋭いクロスを送る。ダビド・シルバ、セルロートに惜しくも合わずシュートには至らなかったが、可能性を感じさせたプレーだった。

 74分にシルバがベンチへと下がって以降は、トップ下でプレーした。2度ピンチを招くボールロストを犯してしまったが、自陣で自らボールを奪ってそのままドリブルで敵陣深くに侵入し、モハメド=アリ・ショーに際どいスルーパスを出すなど持ち味も発揮していた。

 ビジャレアル戦で久保が受けたファウルは5回。これはソシエダ内で最多の数字となっていて、うち1回はイエローカードを誘発している。いかに日本人レフティーが相手を困らせていたかわかるだろう。

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