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「停滞を招く一因」。バルセロナに残る一抹の不安とは? シャビ監督を悩ませる実情【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

疲労の影響を感じさせるレバンドフスキ



 好調時のレバンドフスキであれば、その機動力を活かして前線で軽快な動きを見せ、ボックスの外にも出てパスを受けてチャンスを作っていたが、このセルタ戦では、そうした動きはほとんど見られなかった。12分に、左サイドまで下りてパサーとなる場面もあったが、雑な横パスを出してしまい、そのボールを取られてカウンターを招いてしまう。また、ボックス近辺でパスを受けて、得意とする自らコースを作ってシュートを打つ場面も見られなかった。プレッシングに関しても、ファーストDFとしての鋭さがなく、重い体を引きずり、プレスバックすることができない。

 このように、セルタ戦のレバンドフスキは、攻守においてキレがなく、どうしてもリーガ、CL、代表と、連続出場からくる疲労の影響は否めない。

 それでもシャビ・エルナンデス監督は、一向に背番号9を休めようとはしなかった。レジェンド指揮官は、63分にフェラン・トーレスに代えてアンス・ファティ、ペドリに代えてフレンキー・デ・ヨング、64分にハフィーニャに代えてウスマヌ・デンベレを投入。そして77分にバルデに代えてセルジ・ロベルト、86分にジョルディ・アルバに代えてエリック・ガルシアを送り込み、交代枠は5枚フルで活用した。しかし、レバンドフスキには最後まで手を付けず――。序盤から競り合いでも弱さを見せ、動きが鈍いポーランド代表FWを、一向に下げようとはしなかった。

 いくら得点を量産して一気呵成にエースの座にのし上がったとはいえ、加入して間もないレバンドフスキが、この短期間でアンタッチャブルな存在になったとは考えにくい。3日後には、中2日でグループ突破に向けて重要なCLインテル戦が控えているからこそ、このセルタ戦では新エースを途中でベンチに下げ、休ませても良かったのではないか。

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