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「停滞を招く一因」。バルセロナに残る一抹の不安とは? シャビ監督を悩ませる実情【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

レバンドフスキを休ませられない事情



 もちろんシャビ監督からすれば、1点リードの状況では、エースFWを下げづらかった側面はあるだろう。これが前半だけで3点のリードを奪っていたとしたら、指揮官も躊躇なくレバンドフスキを下げて休ませていたかもしれない。また、先週5日のインテルとの第1戦からは、中4日の時間が空いたので、メディカルのデータなども考慮した上で疲労はある程度回復したと判断した上で、このセルタ戦での起用に踏み切ったのかもしれない。では、誰がレバンドフスキの代役としてセンターFWを務められるかというと、なかなか見当たらないのも事実。得点に関しては、どうしても“レヴィ”に頼らざるを得ないのが現状だ。

 早くもリーガでは、首位の座を巡ってレアル・マドリードとのデッドヒートが始まっており、優勝を狙うのであれば、勝ち点の取りこぼしは許されない状況。レバンドフスキ不在は、そのまま得点源の欠如を意味する。多少の無理は押してもミュンヘンからやってきたポーランド代表FWを使いたいというのが、シャビ監督の本音だろう。

 しかし、CLのグループ突破を見据えれば、次戦のインテル戦は落とすことはできない試合だが、セルタ戦のパフォーマンスと疲労を鑑みると、このままではレバンドフスキは再び沈黙してしまう可能性がある。引き続きホームのカンプ・ノウで行われるので、移動による疲れの心配はないが、セルタ戦でフル出場したことによる疲労を回復させるのは難しいだろう。むしろインテル戦でこそ、シャビ監督はレバンドフスキをベンチスタートさせ、トーレスかファティの0トップの奇策で挑む…とも考えにくい。

 たしかに今回のセルタ戦は勝利した。リーガにおける首位の座もキープした。だが、レバンドフスキは無得点に終わった。まるで10kgのユニフォームをまとっているかのように、動きも鈍かった。リカバリーの時間は少ない。中2日で行われるCLインテル戦に向けて、一抹の不安を残す勝利だった。

(文:本田千尋)

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