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バルセロナは「リーガ以上CL未満」完成度に粗さ…。陥りかねない悪循環【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

シャビ監督が陥る危険のある「負のスパイラル」



 このビジャレアル戦では、レバンドフスキも前線で軽快な動きを見せていたわけではなかったが、決定機で瞬間的に力を発揮したことで、2ゴールを奪って試合を決めた。このように国内では、なまじエースFWの個で勝ててしまうがゆえに、CLで勝ち切るための細部を詰めることが疎かになってしまうのかもしれない。

 細部とはつまり、ボックス近辺での連動性と意外性である。特に、敵にとっての意外性を意図的に創り出すプレーが、かつてのアンドレス・イニエスタや他ならぬシャビ・エルナンデスにあって、現在のペドリとガビにない要素なのではないか。

 そして“レヴィ”のゴールで勝ち続ける状況が続くと、いよいよレバンドフスキを先発から外せなくなり、適切なローテーションを行うことができず、疲労が蓄積して負傷離脱、そして重要な試合でエースFWの活躍を望めない、という最悪の事態に繋がる可能性が高まっていく。現状、レバンドフスキの活躍は頼もしい限りだが、ミュンヘンからやってきたポーランド代表FWに依存し切ってしまう状況は避けたい。

 例えばレアル・マドリードは、仮にカリム・ベンゼマを何らかの理由で欠いたとしても、ヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴに得点を期待できる。だが、バルサはどうか。最前線にレバンドフスキを欠いた場合、得点源を失うどころか、さらにチームとして機能しなくなる可能性が高い。

 つまり、“レヴィ”への依存度が高くなればなるほど、エースFWに何らかのアクシデントがあった時に、バルサが窮地に陥る可能性が高くなる、ということだ。

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