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モヤモヤが残るアーセナルの勝利。主導権を明け渡した2つの問題とは?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

決定機を決めきれなかった2人のFW


 チューリッヒに流れが渡った一つ目の要因は、アーセナルが2点目を決められなかったことにある。17分という最高の時間に先制することができたアーセナルは、その後も主導権を握って攻めることができており、前半だけで12本のシュートを記録している。

 ところがティアニー以外の選手はゴールネットを揺らすことができなかった。

 この試合で最多となる4本のシュートを放ったのがエディ・エンケティア、続く3本のシュートを放ったのがガブリエウ・ジェズスである。しかし、この試合が終了した時点でエンケティアは403分間、ジェズスは517分間も得点から遠ざかるなど、直近は彼らの決定力不足が顕著になっている。

 両者ともにこの試合でも決定機逸が目立ち、特に47分にジェズスに訪れたGKとの1対1のシーンは何があっても決めきらなければいけなかった。先週末のプレミアリーグでも似たようなシーンで外すなど、このブラジル代表ストライカーにとって苦しい状況は続いている。

 アーセナルが決定機を逃したことで、試合は1-0のまま動いた。1点差と2点以上の差は追いかけるチューリッヒからすると全く異なる精神状態であり、「セットプレーなどのワンチャンスでも決めれば同点にできる」という心理の下でプレーすることができる。そのため試合終了のホイッスルが鳴るまで彼らは集中力高く攻め続け、試合を決めきれなかったアーセナルにとっては難しい展開となってしまった。

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