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イングランド代表はなぜ大勝できたのか。何がハマった? 6戦未勝利から6発大勝【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

奇妙な選択をしたイラン代表



 大前提としてこの試合のイラン代表が奇妙だったことを理解しなければならない。

 カルロス・ケイロス監督の下で3度目のワールドカップを戦っているイラン代表だが、「transfermarkt」によると同監督の下で戦った過去101試合で一度も5バック(3バック)のフォーメーションを採用したことがなかった。ケイロスがイラン代表から離れていた間も4バックで戦っており、このチームに全く染み付いていない戦い方でワールドカップの初戦に挑んだ。

 その上で絶対的な主力であるDFショジャー・ハリルザデー、DFホセイン・カナーニ、MFサイード・エザトラヒの3選手をスタメンから外したのだ。

 大一番で勝ちに来る場合は自分たちが最も得意なフォーメーションで、ベストのメンバーで臨むだろう。ところがケイロスはコンディションの不具合がなかったのにも関わらず、それを選択しなかった。その理由として考察できるのは、イングランド戦はドン引きでドロー狙い、そして残りのウェールズ戦、アメリカ合衆国戦でベストのメンバーで戦ってグループ通過を目指すというプランを持っていたということだ。

 今回のワールドカップは中3日と、これまでのワールドカップより詰まった日程となっており、ケイロス監督はより勝利の可能性の高い残りの2試合でベストを尽くすことを事前に考えていた可能性が高い。大量6失点での大敗と守護神アリレザ・ベイランバンドの負傷は想定外だろうが、イングランド代表に敗れることも視野に入れたマネジメントを行っていただろう。

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