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メッシを活かすメカニズムを封じた。サウジアラビア代表のアルゼンチン対策とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 西部謙司 photo by Getty Images

分析力と実行力



 アルゼンチン代表はビルドアップ時のSBが低すぎてパスワークに支障をきたし、メッシを自由にするはずのメカニズムも封じられ、一発のパスでFWを抜け出させるカウンターはことごとくオフサイド。プレーぶりもいかにも古臭い感じだった。

 だが、古くてもこれで無敗を続けてきたチームであり、アルゼンチン代表のプレーぶりが酷かったわけではない。ゴールにならなかった2つのオフサイドは非常に際どいものだった。これはこれでチームとしてまとまっているので大崩れする予感はそれほどしない。

 歴史的勝利のサウジアラビア代表は、分析力と作戦実行力の高さに驚かされた。弱点のプレー強度の低さを露呈することはなく、球際の強さに定評のアルゼンチン代表にひけをとらない戦いを見せていた。攻撃の核であるアル・ファラジ、機敏で攻撃力に優れた左SBヤセル・アル・シャハラニの負傷交代は気になるところだが、グループリーグ突破へ大きな3ポイントを手にした。

(文:西部謙司)

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【了】

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