フットボールチャンネル

メッシを活かすメカニズムを封じた。サウジアラビア代表のアルゼンチン対策とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 西部謙司 photo by Getty Images

5分間で逆転したサウジアラビア代表



 よく守っていたサウジアラビア代表だが、攻め込めても全くシュートまでつながらない。前半のシュートはゼロだった。1点ビハインドなので守るだけでは負けになる。

 後半、サウジアラビア代表はより高い位置からのプレスに移行した。一発でラインの裏をとられる危険はあったが、SBのポジショニングが低いアルゼンチン代表はこのハイプレスにビルドアップが行き詰った。

 48分、状況を打開しようと下がってパスを受けたメッシから2人がかりでボールを奪うとすかさず前線へパス。2対2の状況からアル・シャフリが1人を外してゴール、同点とした。サウジアラビア代表のファンで埋まったスタジアムに大歓声が沸き起こる。

 53分、サウジアラビア代表が逆転する。アルゼンチン代表のクリアしたボールを拾ったアル・ドサリが強引に2人を引きずるように外して渾身のミドルを突き刺した。

 アルゼンチンは3人を交代して猛攻を仕掛ける。しかし、GKモハンメド・アル・オワイスのファインプレー連発でしのいだサウジアラビアは、次々にDFを増員して最終的には6-4-0とでも呼ぶべき全員守備で守り切った。

 前半アディショナルタイムに攻撃のキーマンであるキャプテンのアル・ファラジが負傷交代したが、代わったナワフ・アル・アベドも同じ守備タスクを忠実にこなし、後半の5分間にゲットした2点で勝負を決めた。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top