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ポルトガル代表はまだまだ伸びる。C・ロナウドに見られた変化とは?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

前節ガーナ代表戦からの戦術変更とは?


 うまくいかなかったガーナ代表戦からの一つ目の戦術変更はロナウドの立ち位置の変更だ。中央だけでなく、ワイドにも積極的に顔を出すことで多くの局面でボールに関与した。これはこれまでのサントス監督のチームではあまりなかったことだったが、さすがに攻撃の機能不全に手を打った形だ。

 この戦術変更の効果はすぐに発揮された。ロナウドはサイドで起点となり、味方選手へ積極的にダイレクトでボールを落とした。結果的にこのロナウドの落としから点に結びつくことはなかったが、このプレーから3本のシュートが生まれている。

 そしてこの試合における最大の戦術変更はブルーノ・フェルナンデスのトップ下起用だ。前節ガーナ代表戦では右WGで起用されていたが、ウルグアイ代表戦では中央にポジションを移している。ブルーノ・フェルナンデスはトップ下という比較的自由が与えられるポジションで試合に出場したことで、味方選手へのサポートに積極的に周り、相手のファイナルサード付近でボールを保持する場面では数的優位を作りやすくなった。

 実際に先制点が決まった場面もブルーノ・フェルナンデスが中央から左サイドに顔を出したところから生まれており、この起用変更がハマった形だった。

 とはいえ、改善点もまだまだ多い。チャンスの数こそ増えたが、その精度は決して高いとは言えず、「あるシュートチャンスが得点に結びつく指標」であるゴール期待値も1.36点に留まっている。そのうちの0.76点がPKだったことを考えると、他のプレーでは0.6点分のチャンスしか作れなかったことになる。

 こうしたことからもポルトガル代表の攻撃は課題が山積みということがわかるだろう。それでも徐々に改善をしようという兆しは見え始めている。成長過程のポルトガル代表は大会期間中にどれだけ成長できるのだろうか。

【了】

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