フットボールチャンネル

【米国サッカー留学の現実/後編】「全員がプロ志望ではない」日本とは異なるアメリカ大学サッカーの実態とは?

シリーズ:米国サッカー留学の現実 text by 向林のどか photo by WithYou

「日本サッカー界に対する違和感を積極的に発言していきたい」



――事業として将来のビジョンはどう描いていますか?

「会社として、4年後のW杯が北米大会のため、何らかの形で関わる子が出てきてほしいと考えています。選手として出場できなかったとしても、スタッフや通訳など、どんな形でもいいのでW杯に関わる選手が出てほしい」

「その下見として、今回のカタールW杯に行ってきました。現地で、スペインやドイツに勝利した場面に立ち会ったことで、このことがより自分の中で大きな夢になっています。あの感動の場に、うちの子が居てほしいという思いが強まりました」

――留学が普及していくことで、日本サッカーへ良い影響もありそうですね。

「また、自分が海外で見ている世界を日本のサッカー界に還元していきたい。育成年代を見ていて、海外で見ていることや日本サッカー界に対する違和感を積極的に発言していきたいと考えています。これまで、WithYouからアメリカやほかの地域でプロになる子たちを多く輩出できるようになってきました。今後、アメリカの大学を出てJリーグに戻ってくるというルートができたらクラブ側としても幅が広がると思っています」

「アメリカの大学は毎試合実況付きで中継が見られます。そのため、私たちも日本から活躍を見守ることができます。高卒でプロ契約ができなかった選手をうちで預かり、アメリカの大学で英語も話せるようになった状態でJリーグに戻す、ということもやっていきたいですね」

――今後に向けて一言お願いします。

「今後もサッカーというツールを使って海外に出てきた人たちのサポートをしたいと考えています。自分が現地で体験して良いと思ったものを日本で取り入れたい。語学面、プレー面、そして栄養面など、サッカーを通じて世界に出たい人たちにとって必要なものを揃えてあげたい。選手たちにとって、日本とアメリカの垣根をなくしサッカー留学を当たり前の選択肢として、定着させられるようにしていきたいですね」

プロフィール:中村亮(なかむら・りょう)


【写真:株式会社WithYou】

1981年8月13日生まれ、兵庫県出身。滝川第二高校、鹿屋体育大学を経て2004年にFC東京に加入。ケガのため翌年に現役引退。その後、中学校教諭やモデルを経て渡米。自身のアメリカ留学をきっかけに2016年株式会社WithYouを設立し、代表取締役を務める。サッカー留学の斡旋・企画及び現地サポート海外に関する留学情報提供サービスを行っている。

【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top