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久保建英 1年前

なぜ久保建英は輝けなくなったのか? ソシエダ監督が考える理由と深刻な課題【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

やはり機能しないオヤルサバル・システム



 ソシエダは前節のセルタ戦同様に4-3-3のフォーメーションを採用した。前半戦は4-3-1-2が基本だったが、左ウィングで輝くエースのミケル・オヤルサバルが復帰したこと、またダビド・シルバが負傷離脱したことが重なり、アルグアシル監督が同布陣を用いるようになったのだ。

 しかし、この4-3-3が機能しているかという点については疑問が残る。

 セルタ戦もそうだったが、4-3-1-2の時よりも中盤の人数が減ったことで、守備時に最終ライン前で食い止められないことが増えてきた。バレンシア戦の先制ゴールも、簡単に縦パスを通されたことでカウンターを許し、そのままペナルティーエリアに運ばれてスベルディアのオウンゴールに繋がっていた。

 また、攻撃面に関してもポジティブな要素が少ない。4-3-3は選手間が広いため、4-3-1-2時のように細かいパスを繋ぎにくい。とくにアンカーであるマルティン・スビメンディを消されると厳しく、守備時4-2-3-1でアンカー潰しを行ってきたバレンシアを前にアレクサンダー・セルロート目掛けたロングボールでどうにかしようとする、ソシエダらしくないプレーも目立っていた。

 先述の中盤の守備強度も影響しているが、2トップ時に比べ、即時奪回も実施できなくなっている。そのため相手の陣形が崩れた状態で攻め込む機会が少なく、押し込んだとしても簡単に外へと逃がされる。バレンシア戦のソシエダは可能性の低いクロスとミドルシュートがほとんどだった。

 そして最も深刻なのが、肝心のオヤルサバルが輝けていないことだ。前節のセルタ戦はさすがのシュートセンスを発揮しゴールを決めたが、バレンシア戦では存在感が薄かった。オヤルサバルが本調子ではない中、4-3-3に拘る意味はそれほど大きくないと言わざるを得ない。

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