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采配ミスなのか?なぜアーセナルは勝利を逃したのか?優勝へ立ち込めた暗雲【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ティアニーの起用法は正しかったのか



 左SBのレギュラーであるジンチェンコは鼠径部の負傷で欠場。今季、彼の欠場時は代わりに冨安健洋が起用されることが多かったが、この日本代表DFは膝の負傷で今季絶望となっており、ウェストハム戦ではティアニーが先発起用された。

 ジンチェンコとティアニーのプレースタイルは全く異なる。前者は元々トップ下などでプレーしていた選手であり、偽SBとして中盤の一角でプレーすることを得意としている。対してティアニーは大外のラインのアップダウンを得意としているオーソドックスなSBだ。今季のアーセナルはジンチェンコの偽SB起用がハマったこともあり、それと異なるプレースタイルであるティアニーの出場機会は大幅に減少していた。

 そんな状況でティアニーにリーグ戦では昨年12月のウェストハム戦以来となる先発の機会が回ってきた。プレースタイルの違いが分かっていた中で、アルテタ監督はチームのシステムである偽SBにこのスコットランド代表DFを当てはめた。

 だが先述した通り、ティアニーは大外のラインでプレーすることが得意な選手であり、360度の視野を必要とする中盤でのプレーには慣れていない。普段であれば広い視野と高いテクニックを兼ね備えるジンチェンコが相手のプレスを回避する役割を担っているが、今節は逆にティアニーの偽SBがボールの奪いどころとなってしまった。

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