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久保建英 12か月前

久保建英は“ソシエダのメッシ”。ジローナを圧倒した変幻自在なプレーの数々【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英が止められない理由は“変幻自在”



 そんな久保のプレーを一言で表すならば、まさに“変幻自在”だ。それが、相手の左サイドを完璧に攻略できた理由の1つと言っていいだろう。

 久保は常に多くの選択肢をもってプレーしており、味方のサポートがなくてもDFを剥がせるドリブラーとしても、あえてスピードを落として時間を作り味方を確実に生かすパサーとしても振る舞うことができる。そして、その中にも様々なパターンが存在する。つまりプレーが単調ではない、かつ一辺倒ではない。対峙するDFからすると、的を絞りにくい。まるでソシエダのメッシだ。

 それがよく現れているシーンが2つある。

 54分、久保は右サイドでドリブルを開始し、J・エルナンデスと1対1に。それまで久保がカットインで勝負していたこともあり、J・エルナンデスは久保の左足を切る体勢をとったが、日本人レフティーはその重心の逆をついて縦に突破。的を絞りきれなかったJ・エルナンデスはまったくついていけず、久保は敵陣ボックス内深い位置においてフリーでクロスを放った。

 そしてもう1つは61分の場面だ。久保は右サイドからボックス内にカットインすると、角付近から左足でシュート。ガッサニーガがゴールラインぎりぎりで防いだことで得点にはならなかったが、決定機だった。

 この日の久保はカットインからのシュートをそれほど多くみせていなかった。シルバへのアシストがそうだった通り、角度をつけたところからのクロスが目立っている。しかし、上記のシーンでは迷わず左足を振り抜いた。GKからすると少し意表を突かれた形であり、それがゴールラインぎりぎりでのセーブを強いられた原因とも言えるはずだ。

 チームを勝利に導けなかったことは残念だが、久保のパフォーマンスはラ・リーガ参戦後ナンバーワンだったと言っても過言ではない。今後のバルセロナ戦やアトレティコ・マドリード戦への期待感は高まるばかりだ。

(文:小澤祐作)

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