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プレミアリーグ 11か月前

“あの日”から2年。死の淵を知ったエリクセン、心境の変化と壮絶な復帰までの道のり【コラム】

シリーズ:編集部フォーカス text by 安洋一郎 photo by Getty Images

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クリスティアン・エリクセンはエリック・テン・ハフ監督率いるマンチェスター・ユナイテッドで絶対的な主力としてプレーしている。だが、彼は今から2年前に一度、自らの命を失いかけた。エリクセンが今日に至るまでに乗り越えた困難と軌跡、そして彼の生き様から伝わるメッセージを綴る。(文:安洋一郎)


5分間この世からいなくなった“あの日”

【写真:Getty Images】

 2021年6月12日、クリスティアン・エリクセンはピッチへと倒れた。それも普通の倒れ方ではなかった。明らかにふらついていることがわかる状態でスローインのボールを受けにいくと、そのまま意識を失い頭から転倒したのだ。

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 両チームの選手やアンソニー・テイラー主審はすぐにこの“異常事態”に気がつき試合をストップした。デンマーク代表の主将シモン・ケアはCBの位置からすぐにエリクセンのもとへ駆け寄り、舌を飲み込まないように身体を横に向けて気道を確保。デンマーク代表の2人のチームドクターも倒れてから45秒あまりで彼のもとに駆けつけて応急処置を行った。

 『The Athletic』の取材によると、彼らがエリクセンのもとに到着した際は呼吸をしていて、脈拍もあったそうだが、突如として状況が悪化。心臓が止まる「心停止」の状況に陥った。

 心停止は心臓が機能不全になり、血液が体中に思うように送られなくなることで起こる症状だ。チームドクターはすぐに心肺蘇生を行い、AED(自動体外式除細動器)を使って再び血液を正しく送り出すことができるように促した。

 心臓が止まってから何も処置をしなければ、1分経過するごとに生存率が約10%ずつ下がると言われている。一分一秒も無駄にできないこの状況だったが、チームメイトやチームドクターが迅速な対応をしたおかげでエリクセンは一命を取り留めた。スタジアムに選手専用の救急車が用意してあったこと、AEDや生命維持装置がすぐにドクターの手元に届いたこと、スタジアムから4分ほどの距離にデンマーク最大の病院があったことも彼に味方した。

 後に本人も「5分間、この世からいなくなった」と振り返るユーロ2020(欧州選手権)グループBデンマーク対フィンランドの一戦での悲劇。このとき、誰もエリクセンが選手としてピッチに帰ってくる姿を想像することはできなかっただろう。

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