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デメリットが多すぎたアーノルドの偽SB起用。リバプールを停滞させるメカニズム【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 松島亮太 photo by Getty Images

チェルシー戦で明らかになったのは…


 開幕節では、アーノルドを偽SBとしてボランチ起用すると彼の良さが消えてしまうどころか、守備のウィークポイントとなってしまっていた。ボールを保持できて押し込めるゲーム展開なら偽SBとしてのアーノルドが活きるかもしれないが、スタンダードな4バックシステムほどの安定感は望めない。アーノルド個人の守備パフォーマンスは上々だっただけに、起用位置が今後のリバプールを左右しそうだ。

 また、この試合でアンカー起用され、攻守に渡って輝いていたマック・アリスターだが、できることなら一列前で使いたい選手だ。ボールを持った瞬間に相手に寄せられても冷静にいなしてパスを通せるため、アーノルドをボランチに配置しなくてもビルドアップからゲームメイクを任せることができるだろう。逆に、相手MFがボールを持った時はいちはやくチェックに行って攻撃の芽を潰すことのできる選手なので、この先もリバプールの心臓としての活躍が期待される。

 即戦力となる本職のアンカーを未だに補強できていないリバプールだが、安定した中盤を形成できれば偽SBシステムにこだわる必要はなくなる。結果、マック・アリスターやMFに不慣れなガクポをもう一列上のポジションで使うことが可能となる。中盤から前線にかけての選手間の距離の長さが気になったリバプールだったが、距離が近くなればパスはもっと繋がって攻撃は活性化するだろう。

 昨シーズン終盤に勝ち点を稼いだアーノルドの偽SBシステムだが、選手の入れ替えと相手チームの対応によって、偽SBシステム一辺倒では戦っていけそうにないのが明らかとなった開幕節だった。

(文:松島亮太)

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