黄金時代の終焉。そこからの転落ぶりは…
パオロ・マントヴァーニから、息子のエンリコに会長職が受け継がれたクラブは、次第に競争力を失い、1999年にはセリエB降格の憂き目に遭う。翌年、マントヴァーニ家がクラブ経営から退き、一時代に幕を閉じる。“サンプドーロ”の終焉だった。
その後、リッカルド・ガッローネの会長就任により、クラブは再び存在感を高めることとなるが、ガッローネ家が経営陣から去ると、またしてもクラブは下降線をたどる。2014年からはマッシモ・フェッレーロが会長を務めていたが、クラブが多額の負債を抱えるなど、深刻な危機に瀕した。クラブの活動禁止の恐れという切迫した状況にあったものの、現在はシンガーポールの投資家から資本を得て、なんとか経営を維持することができている。いずれにしろ、クラブ運営が不安定であることは変わらない。
今季の不振の理由は、継続性の欠如であることは明らかだ。ピルロ、ソッティル、センプリチはそれぞれ異なる戦術を用い、補強選手の多さや負傷者の多発によって、安定した先発メンバーを固定できなかった。3人の監督が指揮した最終戦を見るとそれは一目瞭然だ。
第3節、第16節、第32節の試合で先発起用されたDFは、実に9名。この3試合すべてに先発でピッチに立った選手は、アレッサンドロ・ピオ・リッチョしかいないのだ。今季、29試合で3バックが採用されているが、その詳細は3-5-2、3-4-2-1、3-4-1-2、3-4-3と多岐にわたる。そして、負傷者が相次いでいるとはいえ、1シーズンでGKが5人も起用されているのは異常と言わざるを得ない。これだけ、最終ラインとGKが入れ替われば、混乱をきたすのは当然のことだ。
エヴァーニ新監督は12日の第33節、対戦前に一つ上位だったチッタデッラ戦で、4-3-3のシステムを取り入れている。今季4バックで戦ったことは3度しかなく、すべてが4-2-3-1によるものだった。これからもこの新システムが機能するのかは未知数だ。残留を争う直接のライバルを1-0で下したとはいえ、残り5試合の戦いは厳しい相手が待ち受ける。
ユーヴェ・スタビア(5位)、カッラレーゼ(11位)、クレモネーゼ(4位)、カタンザーロ(6位)、サレルニターナ(18位)と続く。自動降格圏のサレルニターナとの勝ち点差はわずか「2」。最終節の直接対決にまでもつれ込む可能性があるだけに、それまでに残留を確定させておきたいところだが、道のりは極めて険しい。