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コラム 1か月前

三笘薫はブレーキとアクセルを巧みに操る。カイル・ウォーカーをも翻弄する「前さばき」からの再加速の仕組み【動作分析コラム】

シリーズ:動作分析コラム text by 三浦哲哉 photo by Getty Images

高速ドリブルに必要な「縦方向に奥行きの広いボールタッチエリア」

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参照元:X

 ドリブルしながら速く走る技術も「サッカー的なスプリント」の一つになります。オフザボールとオンザボールでのスピードの差分が少ないことは、三笘の大きなストロングポイント言えるでしょう。

 スプリントしながらドリブルをする場合、一般的な選手は身体の前の限定的なエリアでボールタッチしながら運んでいきます。対して三笘は、タッチできる範囲が広く、上半身の姿勢を保持しながらスプリントする脚のサイクルに合わせて足元にあるボールをすくって前に持ってきたり、身体の前側にあるボールに脚を伸ばしてタッチした後に素早く引き込んで着地する、という動きを左右両足で織り交ぜることができるためノッキングが少なく、ドリブルでもスピードが落ちにくくなります。

 また、このシーンは最初の2タッチはトーントーンと前方のスペースに大きく運んでいますが、一転して3〜4タッチ目では、スプリントの1サイクルごとにトントンッと連続的にボールタッチを刻むことで、スピードを落とすことなくシュートを打ちやすい状況を作り出しています。

 これらの「縦方向に奥行きの広いボールタッチエリア」と「リズム変換能力」の高さによって、スプリントに必要な脚のサイクルや着地位置を大きく崩すことなくボールの移動に身体の動きを合わせていくことができるため、三笘は長い距離を高速で運ぶプレーが可能になるのです。

 さらにもう一点、注目してもらいたい局面があります。

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